一億光年の恋

あとがきというか解説というか、こんなことを考えてました+裏設定のような何かです。
ネタバレというほどの話ではないですが、結末まで触れています。



■通り魔事件
天鵞絨町の治安を悪くしてすみませんでした。
いや、あの、「超絶バッドエンドからの大逆転ハッピーエンドが好き」→「超絶バッドエンドって言ったらどっちか死んでるな」からの、通り魔事件の犯人によって一成が死ぬっていう話になっちゃって……。死ぬにも事故とか病気とか色々あるだろと思うんですが、なぜ殺人事件に展開するかというと恐らく私がミステリーで育ったから……?ナチュラルに人が死ぬ話ばっかり読んでたので……。ミステリー大好き……。ただ、さすがに連続殺人事件だとカンパニーメンバーがもっと警戒すると思うので、通り魔に落ち着きました。(通り魔に落ち着くって何だよって感じだし、いや本当読み返す度「酷い目に遭わせてごめん……」って思ってました)


■犯人
警官が犯人っていうのは最初から決まってました。というか、警官以外に容疑者いないですねこの話。ミステリーじゃないけど、ちゃんと犯人出しておかないと思って記述したので……。一応ノックスの十戒一番は守りました。序盤には出てる。
>寮をきちんと見張っていますので
とか言ってますが、「(目撃者である一成が変なことを言い出さないよう)寮をきちんと見張っていますので」だからな……って思いながら書いてました。
犯人については特に何も考えてないし同情の余地は一切ないんですが、最初から一成を殺すつもりはなかったという設定はあります。脅しのためにナイフを出したらもみ合ってる内に刺してしまって、誤魔化しが利かなくなってこうなったら殺すしかないと決意したという経緯でした。いや、殺意を持って臨まれたらさすがに一成死んでしまうので……。助かるルートに入ってもらうためには、少なくとも最初から殺意を持たれるのはまずいな、というわけでこの設定です。
脅したっていうのは、一成のスマホを確認したかったからです。一成を見張っているうちに、「やたらと写真を撮る人間である」を知って、何か写真を撮られたんじゃないか?という疑念を抱き始めて、どうにかしてスマホの写真を確認しなくてはという強迫観念に駆られました。実際、犯人とぶつかった時って一成はスマホ持ってるんですけど、別に何も撮ってません。でもまあ、妙なところで勘が鋭いから放っといたらいつか気づいた可能性は否定できない。
一成が大学帰りに車に乗ったのも、警官なので信用してしまった的な裏設定でした。なぜ素直に車に乗ったのか?=顔見知りだったから、という答えです。実際に自分の警護してくれてる警官だったし、急いで帰らなきゃって焦ってたので、つい車に乗ってしまった。この辺のこと真面目に考えると辛くなるのでふわふわとしか考えてませんが、本当ごめん……。
最後、天馬が犯人の襲撃に遭うのはプロット段階から決まってました。ただ、私はアクションシーン書くの苦手だし、そもそも唐突すぎて大丈夫かな!?って思いましたがこうなったら開き直るしかないなと突っ走りました。


■出られない電話
電話を受け取れなかった天馬が、最後に一成からの電話をきちんと受け取る。
っていうのは、最初に話を考えた段階から決めてました。電話が鍵になる話だからというのもありますが、この辺りは何か最初からそういう話だったという感じです。物語に要請されてこんな流れになりました。でも、本当天馬も相当辛い目に遭わせてるよな……と思って、一成からの電話に出られるシーンで書いてる本人も「ようやく電話に出られた!」って思ってました。電話に出てやれなかった後悔をずっと抱えてて、遠い過去からの電話を受け取ることはできた天馬が、今同じ時間を生きている一成からの電話を受け取れる。ようやく天馬の心が救われるシーンでもあるし、私はこういう最初と最後の対比が好きなんだと思います。


■彗星
全編に渡って出てくる存在ですが、最後しか描写はしてないという。ただ、この話の根幹というか不思議な現象が起きてる原因でもあります。まあ、彗星だけの力じゃないんですけど。
具体的に彗星のことはあんまり書いてませんが、日付とともに彗星の位置とかは決めてました。あと、一成が亡くなった日は彗星が肉眼で見えるようになった日だから、猫の集会で
>今日はいつもよりお星さまがざわざわしてるんだねぇ
という台詞がありました。彗星は宇宙のロマンを感じるとともに凶兆の存在でもあるというのが、話の雰囲気的には合ってるかなと思います。
そして、「カロン彗星」という名前ですが、こちらはギリシャ神話に出てくる冥界の川の渡し守から来ています。三途の川の番人みたいな存在です。死者を乗せる船を操る存在なので、死者にまつわる何かしらの因果がありそう、ということで命名。


■夜の公園で一成を発見する
最初は薄ぼんやりと「天馬と三角が一成を見つける」くらいしか考えてませんでした。ただ、真面目に考えると「人がいるところならカンパニーメンバーがこんなに探してたら見つかるのでは」「中々見つからない一成をどうやって見つけるんだ」という疑問が出て来どうしようと思ったんですが、猫集会による協力で解決できました。三角ならできそう……。
それとこれも裏設定ですが、犯人が一成を殺してしまったのは予想外の事態だったので、証拠になりそうなものは片付けたけど遺体をすぐにどうこうできる用意がありませんでした。深夜になったら遺体を動かすつもりだったので(夜の公園の駐車場裏なんて普通は誰も来ない)、三角がめちゃくちゃファインプレーだったんですよね。猫集会がなければ、遺体すら見つけることはできなかったので。
一成の遺体を発見する場面で気をつけてたのは、遺体を直接描写しないことでした。具体的に書くとPG-15になりそうっていうのもあるし普通に私が辛いというのもありますが、一番は天馬と三角には遺体を見せたくなくて。あの二人は、夏組としては年長組だし実はとてもしっかりしてるし、時々大人より大人らしいけど。それでも、まだ大人にちゃんと守られててほしかった。大人としてあの二人を守ってほしかった。だから、遺体を確認するのは月下と左京さんにするというのは最初に決めてました。望んではいないだろうけど、あの三人はそれなりに死体耐性あるだろうなと。
ただ、「一成の死を誰が口にするか」はちょっと悩んでました。具体的には、天馬に言わせるか左京さんに言わせるかで。順当に考えれば左京さんなのかなぁと思ったんですが、書いてる内に「ああ、これはきっと天馬が言うんだな」というわけで本編の形になりました。天馬は痛いくらいに現実を見据えてしまうから、誰よりも夏組リーダーであることを誇りに思ってるから、だからこそきっと天馬が言うんだろうなと思います。


■好きだと言えばよかった
書いてて辛かった。ごめん……本当にごめん……ってうめきながら書いてました。いや本当ごめんね天馬……。ちゃんとハッピーエンドだから!って思いながら書いてはいました。
この後悔が、本編を通して天馬を貫くものでもあります。「好きだと言えばよかった」、だけど、言うことができない。伝えられない思いを持ち続けていたから、それが一番の後悔だと知っているからこそ最後につながります。


■バラバラになる夏組
一成が死んでしまって普通ではいられないだろうと思って、こんな感じになりました。ごめん。いやもう、私この話書きながら何回謝ってるんだろうな。
全員どんな方向性で精神に不調を来たすか、と考えた時、椋なら同じ部屋だったこと、幸と九門は一成についた傷、三角と天馬は芝居かな、というわけでこんな形になりました。
夏組がバラバラになるのは、この状況下だと実家に帰るだろうなって思ったのもあるし、寮に残るのは思い出が多すぎて辛いだろうなというところからです。あと、どうしても別荘に行ってもらう必要があった。


■森の中の洋館
完全に趣味。それから、SFというか時間を超える的な話なので、それなりに説得力のある舞台を用意したいなというのもありました。アンティーク品がいっぱいある森の中の洋館とか、不思議な現象の一つや二つ起こってもおかしくないかなって。まあ、大半は私の趣味なんですけど。管理人さん夫婦も書いてて楽しかったです。
しかし、こういう舞台用意できるから本当皇家の財力ありがとう!って思ってました。皇父ありがとう。


■一成とつながる電話
1話目の終わりは一成と電話がつながるシーンにしよう、というのは最初から決めてました。そうしないとあまりにも1話目が辛すぎるというのと、引きとしては丁度いいかなというのと、電話がつながらないと一成が全然書けないからです。
ほぼ3万字ずっと一成死んでたので、描写が全然なかったんですよ……。1話目最後でもほぼ何も書いてないですが、ここに向かって1話目をずっと書いてたのでようやくちゃんと生きてる一成書けて嬉しかったです。
2話目はほぼ一成と会話してるだけの話なのに3万字とかになったので自分でも「??」って顔してましたが、あとになって必要な話を色々とここでさせています。ストラップを交換するくだりとか、不思議な現象を信じるとか、アイテムとしての時計の話とか、彗星についての基本情報とかその辺です。ただ、プロットの段階では、未来からの電話を信じるエピソードが本当はもう一つあったんですが、一成がすぐ信じるのでなくなりました。天馬が心から告げた言葉なら、どんな荒唐無稽な話だって一成なら信じるので……。エピソードなくても平気だなと思って削りました。だって絶対疑わないんですよ一成。
それと、いつもは電話の時って電話相手の会話を『』表記にしているんですが、今回は「」で統一しています。ちょっと文面が煩雑な印象になるのと、自然な会話の流れにするためにはあまり区別したくないなぁと思って。過去の電話であることを強調したほうがいいかなぁとも思ったんですが、最終的には夏組そろった時に一成だけ異質感あるの嫌だな……と思ってこうなりました。


■夏組のターン
天馬なら夏組を一成と会わせてやりたいって思うだろうなと。あと、やっぱりてんかずに夏組は欠かせないので……。十座は当然一緒に来るだろうな~と思ったんですが、十座は本当にカッコイイな。
天馬はここで明確に「一成を死なせない」という決意をしているので、エンジンがかかったというか火がつきました。それまで無気力状態だったけど、決意したら強いと思います。天馬もカッコイイんですよやっぱり。
夏組それぞれのターンは、「天馬の意志の象徴」と「必要な情報の説明」を混ぜて組み立てています。あと、最後に夏組の前で思いを告げるプロットがあったので、事前に「天馬にとって一成は特別である」というのを周知する必要がありました。

・九門と天馬
意志の象徴は「不安でも前に進む」。天馬も不安がゼロではないと思うんですよ。ただ、それでも前に進むんだって決めているので、その辺が九門くんに重なるかなぁと思って。私は九門くんのあの明るさが影を知った上でのものだというのが大好きだし、天馬もそういうタイプなので大好きなんですよ……。闇を知って光を掲げる二人が大好き……。
情報説明としては、「過去の一成の未来は今につながっているか?」という疑問でした。これはわりとずっと最後まで続く話なので初めに明示する必要がありました。

・椋と天馬
意志の象徴は「6人でいようとすること」。これは幸くんのシーンで、夏組リーダーであることの意味にもつながるんですが、天馬は誰よりも強く6人でいることを大事にしてるだろうな、というのがあります。他の夏組ももちろん思ってるけど、天馬はそれが特に強い気がする。むっくんはそういう所をきちんと拾ってくれると思ってます。あと純粋に一成とお菓子の話をしててほしかった。ルムメかわいい。
情報説明としては「電話のつながる条件の明示」「未来の夏組の具体的な行動」あたりです。事実として描写しておかないといけないので、どうやって会話の流れに組み込むか考えてました。

・三角と天馬
意志の象徴は「演技でつながる」。いや、もうこの二人そろったらこうだろ!?と思って。天馬と三角ってやっぱり、根幹に演技があると思うんですよね。そういう意味でもちょっと兄弟っぽい。なので、一成と演技することによって自分たちはつながっていくのだ、という意志を示してもらいました。
情報説明というか、ここで必要だったのは「三角への謝罪」「天馬の一人芝居・月下侵入ルートの伏線」ですね。三角にちゃんと謝るのと天馬の心を解きほぐす必要がありました。あとの二つは、純粋に伏線張っておかないといけなかったので……。

・幸と天馬
意志の象徴は「戦う意志に火をつける」。この二人はあらゆる意味で火力が強い。戦うと決めたらブレーキじゃなくてアクセル踏み込んでくれそうだし、たぶん今の状況ではそれが一番必要なんじゃないかなと思います。ためらわずに戦うのだと、改めて告げることは天馬の確かな力になる。
情報説明としては「千景から情報を得ている」「事件当日の動き」でした。最後のシーンで月下が出てくるので、千景さんも事前に出しておきたかった。それと、カンパニーメンバー(の一部)はある程度情報掴んでるのでは?と思ったのでこんな感じです。

ちなみに、4人の順番はあれこれ考えて入れ替えとかもしてるんですが、やっぱり最後は同室の幸くんだなと。リーダーとしての天馬を肯定して、天馬の背中を押すのはやっぱり幸くんなんじゃないかなぁ。


■夏組と一日過ごす
趣味に突っ走りました。全編暗い中、この話は基本的に楽しくワイワイする話なので……!一成を一日だけ自分たちのものにさせてくれ、というわけでどこかへ出掛けさせるのは決まってたんですが、詳細は何も考えてなくて気づいたら合宿所になりました。ある意味これは、リモート合宿なのでは……?
何となく、トランプは九門くん、エチュードは幸くん、全体まとめとお菓子作りはむっくんが主担当イメージでした。エチュードの配役は、「父・息子」がむっくん、「教師・生徒」が幸くん、「旅人・案内人」が九門くんでした。配役だけ決めてマジで何も考えてなくて、たぶんこのエチュード部分が一番出来上がるまで時間かかった。アドバイスもらったはずが予想外の方向に転がって「???」って感じでしたが楽しかったです。夏組にはエチュードさせたくなっちゃうんだよな~。
最後に出てくるトライフルは、ちょっと特別感あって簡単にできるもの、で選びました。生クリームあればもっとケーキっぽくなるけど、さすがに合宿所で仕事してる人間にやらせるものではないだろと思って却下。ビスケットとヨーグルトくらいならすぐできるので……。あと、幸くんのためにフォーク使わなくて食べられるようにというわけで簡易パフェになってます。
そして、ある意味で題名の伏線回収ターン。このエピソードのために、一成との会話で色々星の話とか光年の話をさせる必要があったんですよね。決して同じ時間を生きられない、過去から届く光という意味で、過去の一成を星になぞらえています。


■天馬の一人芝居
3分間を持たせるために一人芝居をする、というのは決まってたのでちょこちょこ台本のシーンは入れてました。犯人と対峙するシーンで何を武器にするかと考えた時、天馬には圧倒的な演技力で殴り倒してほしくて……。空気を丸ごと掌握するくらい力のある演技ができると夢見ています。
3分って何文字分かな?って調べたら、大体750~800字だったのでおおむねそれくらいの台詞です。身振りとか合間の呼吸とかもあるから、恐らく実際は3分以上かかってるとは思います。
原作の漫画のモデルは特にないんですが、該当する話どこかにありそうな気はします。親友が実は黒幕でその親友役とか期待値めちゃくちゃ高いと思うので天馬頑張れ。台詞はちょっと芝居がかった感じを意識して書いてたので楽しかったです。普段書かないテイストなので……。


■穿たれた穴が満たされる
何も考えてなかったけど、最終的にいい感じに落ち着いたところ。別にプロットにはなかった。
本当に一切プロットでは書いていなかったんですが、気づいたら上手く収まってました。小説書いてるとこういうことがあるから面白いですよね。天馬にぽっかりと穴が開いたからこそ、意志だとか決意だとか流れ落ちて無気力になるという流れは何となく意識してましたが、具体的にどうやって解消されるかは特に決まっていませんでした。それが、書いている内に「ああ、これは最後に一成を抱きしめて、五感の全てに一成の存在が満ちることで穴が埋まるんだろうな」という結論に至ったので、たぶんこれは物語に要請されている。


■月下の二人
この話における一番の功労者。遺体を発見した時もそうだし、鍵になるストラップとか諸々の情報とか最後に車で駆けつけてくれるところとか、その後も護衛してくれるところとか、この二人には多大なる世話になっている。恐らくこの一件のあと、夏組は月下になつきます。地味に好きなのは、めちゃくちゃ車飛ばしてくれた千景さんです。ドライビングテクすごそう。
あと、密を同乗させたのは天馬がパニックになった場合の対処というより、その時の夏組の対処要員です。天馬だけなら千景さんだけでどうにかできるだろうけど、夏組全員引きずられたらさすがにまずいなと思って。でも、6人なら2人でどうにかできるとは思ってるんですよね。


■時計の言い伝え
一成の本心をばらすため、真実の言い伝えを管理人さんに言ってもらいました。これがあるので、ここまでは言い伝えの情報源は管理人の奥さんにしています。最初に管理人さんに聞いちゃうと即刻でばれちゃうので……。実際に過去につながるという言い伝えが事実だったと知っているからこそ、「思いの通じ合った二人」も適用されるのでは?というわけで、一成の本心が期せずしてばらされます。こうでもしないと、一成絶対誤魔化すと思って。


■一成の気持ち
無自覚に片思いはしてたんだとは思います。てんかずだし。(元も子もない結論)いえ、天馬と同じような感じで、好きだという確信はあったけど、それが友情なのか恋なのかわからなくて、だけどハッキリさせるのも怖くてあまり深く考えないようにしてたという感じです。
そんな時に天馬から一直線に「大事だ」「大切だ」と言われて意識するようになりました。ただ、明確に「特別にしてほしい」と自覚したのは、5話で「てか、テンテン、なんでそんなに一生懸命になってくれんの。カズナリミヨシへのラブが爆発しちゃった感じ~?」って聞いたら、「夏組リーダーだからに決まってるだろ」って答えられた時です。この時に「一成だから」と言ってほしかったことを自覚して、「オレ、テンテンの特別になりたいんだ」と気づきました。この時、「今回ばかりは上手く隠しおおせたらしい」と天馬は思ってますが、一成も自分の気持ちを自覚して動揺してたから、という設定でした。そうでなかったらたぶん気づいたと思う。


■天馬の告白
「好きだと言えばよかった」という後悔があるので、ためらいなく思いを口にします。何回でも言ってやると決めてるし、愛が重いです。まあそれはそうでしょうね!って感じなんですけど。
ただ、一成はすぐうなずかないだろうなというのがあったので、1回目の告白では答えをもらえない、というのは最初から決まってました。当然天馬は諦めないけど。そのあとで、時計の言い伝えがバレてもう一度告白するという流れも決まってて、この時は夏組の前でっていうのもプロット通りです。この二人の結末はちゃんと夏組に見守ってもらいたくて……。
どうすれば一成がうなずくかを考えた時、一成の恐れ(自分を選んだら後悔する)を打ち砕く必要があるんですが、それは恐らく天馬をずっと貫いていた「好きだと言えばよかった」後悔だろうなと。仮定の話でも悪い夢の話でもなく、事実としてその後悔を知っていることを天馬も一成も理解しているので、「これ以上の後悔はない」と言い切る意味がこの上もなく伝わる。一成が生きている、その事実の前にはどんな後悔も意味を持たないのだと、一成の心に真っ直ぐと届く。
それに加えて、一成の背中を押したのは天馬が触れてくれた手のひらっていうのは、まあ完全に趣味なんですけど。今まで、天馬が「ここにいる」と確かめるために触れていた温もりが、最後には一成の力になる流れになったので結構好きです。


■一成生存ルート
生存ルートに入るために必要なのは以下の条件でした。
・事件現場に天馬がいる
・一成が一緒に来てくれるよう頼む
・一成の様子がおかしいことに周囲の人間が気づいている
・天馬が一成に電話をかける

これはそれぞれ
・事件現場に天馬がいる(一人じゃない+自覚前だけど一成のことが好きな人間=天馬がいるので気にかけるレベルが高いため生存率上昇)
 →事件発生日がズレたため天馬が寮にいた(本来の事件発生日は撮影で不在)
・一成が一緒に来てくれるよう頼む
 →今までの一成なら悪いと思って一人で出かけてましたが、10月の夏組との約束と天馬の必死の願いがあるため、ちゃんと一緒に来てくれるよう頼んだ
・一成の様子がおかしいことに天馬や周囲の人間が気づいている(一成を守るという切実さが違うので生存率上昇)
 →不審な行動が多かったため(慣れたとは言え)違和感を覚えているメンバー多数
・天馬が一成に電話をかける
 →今まで散々電話を掛けてる姿を見ているので、LIMEではなく電話を選ぶ
っていう感じで、実は10月の夏組と天馬の行動が過去にきちんと影響を与えていたという。
事件発生日がズレたのはそれこそ10月の夏組が一成を天鵞絨町から連れ出したからだし、一緒に来てくれるように一成が頼むようになったのは、10月の夏組がどれだけ必死に思っていてくれるかを知っているからです。未来の夏組とやたらと電話しまくったおかげで、不審な行動が多いと思われたし、何より一成に連絡を取りたかったから電話したほうが早いと思って天馬は電話をかけました。だからこそ、路地で襲われた一成を見つけることができた。
未来の天馬や夏組は、助けにいけない、何もできないって思ってたけど、ちゃんと全ては一成を助けるための力になっていました。


■彗星と時計
今回の事態は、57年に一度地球にやって来る彗星と件の時計が合わさって起こりました。この辺りは蛇足というか明確にする必要ないか……?と思って、そこまでちゃんと決めてないというのもあってあんまり詳細は書いてません。いやまあ、本格SFじゃないしあくまでメインはてんかずなので……。
一応
・時計に使われた隕石は以前カロン彗星が落下した時のもの
・カロン彗星には不思議な力がある
・時計はカロン彗星の力を受け取ることができる
くらいのイメージです。星合の時計はわりと彗星全般と引き合うので、たまに地球に彗星が近づくと、過去と時間がつながって声が聞こえたり姿が見えたりするので、幽霊が出る云々とか言われた、という設定はありました。
ただ、今回の件くらいまで明確に会話ができて姿が見える、までのレベルになるのはカロン彗星が地球に訪れた時だけですね。あと、カロン彗星だけだと受信機に値するものがないので何も起こらなくて、時計職人の願いが加わったからこその事態なので、この二つがそろって初めて起きる奇跡でした。


■一億光年の恋
一成への想いを、過去から届く光である星になぞらえてつけました。どれだけ強く想いを懸けても、どれだけ好きだと思っても、触れることもできないし同じ世界にはいられない。美しい光を見ているしかできない恋として、この題名になりました。
一億光年というのはとてつもなく果てしなくて、肉眼で見える星としてはたぶん適当じゃないんですが、天馬の気持ちとしてはこれくらい遠いだろうなと思います。
ただ、最終的にはハッピーエンドにしたい人間なので、ちゃんと同じ場所で同じ世界で、触れることができるという結末です。だからこそ、最後の天馬の決意が「同じ歩幅で足跡を刻んで、共に歩いていく」でした。見上げるだけの空ではなく、同じ場所で間違いなく大地を踏んで歩いていくという決意だから、「足跡を刻んで」なんですよね。足跡を重ねていけるのは確かな地面があるからこそなので、過去から届く遠い光ではなく、同じ世界に生きているという象徴でもあります。
しかし、気づいたら天馬が何かプロポーズしてたのは予想外だった。そんなプロットはなかったんですよ……。でもこの天馬ならプロポーズするな……と思ったのでそのまま突っ走りました。楽しかったです。



完全に趣味のままに書き連ねた話ですし、驚きの長さになりましたが(最終的にこの話25万字近くあります)、お付き合いいただけたならとても嬉しいです。
こちらの解説のような裏話のようなあれこれは、こんなことを考えて書いてるんだな~と少しでも楽しんでいただけたら作者として幸いです。
ここまで目を通していただき、ありがとうございました!




=おまけ=
■余談①
あらすじ代わりに、各話一言ポエムみたいな一文をつけてます。思いつかない時は本当に思いつかないんですが、こういうテイストが好きなので決まると楽しいです。

1話「ここは、きみのいないせかいだ」
投稿する前にキャプションを書いてて、「あらすじ書く感じでもない気がする」と思って考えました。ほぼその場の直感でつけたので、恐らく出来上がるまでの時間が一番短い。気づいたらできてた。何となくひらがなにしましたが、雰囲気も出たし良かったんじゃないかなと思ってます。

2話「こえをきかせて、どうかわらって」
全体をあらためて読み直してたら、ほぼ電話してる話だったので「声」かなと思ったのと、天馬の切実な願いが「笑ってほしい」なんだよなぁと思った結果です。2話全体の天馬からの願いというイメージ。本当この話の天馬は愛が深いというか真っ直ぐというかな感じで楽しいです。

3話「きみは、ぼくのひかりです」
夏組の話を書くと決めた時から念頭にあった文章です。なので、これは最初から決まってました。イメージとしては夏組→一成への気持ちです。基本的にここの文章は天馬のイメージですが、これに関しては夏組。全員違った気持ちで一成のことを思ってるけど、共通認識として「ぼくのひかり」だと思っている。

4話「それは、とおく、とおくからとどく」
全体的にワイワイする話ですが、それも全部過去の一成との体験なので、「遠くから届く光」だよなぁと。最後の部分で題名の回収もしてるので、そういう意味でもつけました。3話の続きと言えば続きなので、「とおくからとどく」ものは「ひかり」でした。

5話「やがて、おわりのこえをきく」
なかなか決まらなかった。話の内容をもう一度見直して考えた結果、キーワードは「終わり」でした。物語が終わりに向かっていることでもあり、天馬に終わりをもたらそうとする犯人でもあり、何よりも一成の登場により悲しみを終わらせる話だったので。2話もちょっと意識してます。

6話「これは、ぼくときみのきせきだ」
全体を読み直していて「軌跡」「奇跡」が出てきた時に、これは「きせき」がキーワードだなと。二人が辿った道の結末でもあるし、起こり得るはずのない出来事の話でもあるので。意図せずひらがなにしたのが、ここで効いてくるとは思いませんでした。何となく1話目と対比した感じにもしてます。



■余談②
イメージソングではないけどよく聞いてた曲。YouTubeのおすすめすごい。
「八星」LUCA + haruka nakamura:曲の雰囲気が好きでしょっちゅう聞いてました。全く知らないのにおすすめで出てきた。
「永遠と一日」baobab + haruka nakamura:恐らく上つながり。何の気なしに聞いてたら「永遠はきみをさらった」という歌詞が直撃しました。
「君の脈で踊りたかった」ピコンft.初音ミク:聞く度胸が苦しくなる。おすすめで出てきた時は「今書いてる話知ってるのかな……」って思いました。
「瓦礫の塔」kemu feat. GUMI:ちょうど書いてる最中にアップされたのでタイムリーだった。失った大事な人に対する歌なので突き刺さった。ちなみに、MIX公演「ラスト・ランウェイ」公演曲「professional」作曲の方です。(左京さんの2ndキャラソンの編曲もしてるのかな……?)