片隅のファンファーレ 解説

■有栖川誉:出版社の事務員(30代・会社員)「お茶を一服差し上げます」
誉さんは常に紳士的だし機嫌のいい人なので、仕事相手からすごく評判がいいだろうと思います。初対面とかだとびっくりの方が勝りそうだけど、仕事でやり取りをするような、ある程度関係を重ねた関係性だったらファンになる人が多いイメージ。
なので、出版社で働いてる人にしようと思ったんですが、編集者はゲームでも出てくるしもっと目立たないバックオフィス職に。私の趣味もあるけど、誉さんは劇団での経験から裏方の重要性をいっそう強く理解するようになったと思うので、そういう人に敬意を持ってる姿が見たくて。一人ずつの仕事を、きちんと見て評価してくれると思うんですよね。誉さんはこうして無自覚にファンを増やす。
ちなみにお土産のお菓子は、冬組からのおすすめをチョイスしてます。カンパニーに入ってから、手土産のテイストとか変わってたら面白いなと思う。
題名は、誉さんと言えば紅茶ということでお茶つながり+丁寧で礼儀正しい感じがモブの雰囲気に合ってるかな、というわけでつけました。



■七尾太一:ショッピングモール(10代・学生)「百円狂騒曲」
ナチュラルに人助けができる太一くん。いろんなことに気がつくし、声掛けることもためらわないと思うので、困ってるのかな?って思ったら聞いてくれると思います。相手は小さい子のパターンも考えたんですが、同じ年くらいの子とにぎやかなやりとりしてほしくて……。そういうわけで、場所もショッピングモールにしました。高校生の子と遭遇しそうな場所っていうのと、全体的ににぎやかな雰囲気があるからぴったりかなと思います。太一くん、ショッピングモールの店も地味に詳しかったりするのでは。
モブの子は高校生で太一くんは大学生なんだけど、モブの子には同じく高校生だと思われてるます。あとでそれが発覚して「大人っぽく見られたいッス……!」って言ってそう。百円の価値観が同じだし、何となく仲良くなってほしい。
太一くんは、相手の力になることは何かないかって全力で考えて実行してくれるだろうと思ってるので、新品の定規もためらいなく使える。太一くんのかっこいいところってそういうところだと思います。



■兵頭九門:サッカー少年(10歳未満・小学生)「雨宿り連盟」
モブとの組み合わせ考えた時、九門くんはわりと最初に「自主練中の小学生」っていうのが決まりました。野球少年も考えましたが、絶対文字数的に収まらないな……というのと、モブがそこまで九門くんの心情読めるか?(野球に対する感情はいろいろある)と思って、サッカー少年になりました。野球に限らずスポーツ全般好きそうだし、サッカーはわりとなじみもあると思うし。
雨宿りしてるのは、どうやって九門くんと会わせるかを考えた結果だけど、九門くんと雨ってわりと切り離せない気がします。その上で、雨にポジティブなイメージを持たせたくて。雨が嫌なものではなく、雨によってもたらされた束の間の出会いが、九門くんにプラスの記憶になるといいな。
題名は結構悩んでいくつも考えました。太陽とか晴天とかも考えたけど、それだと天馬連想しちゃうし……。最終的に「雨宿り」っていう言葉が使いたいなっていうのと、今この瞬間に同じものを共有している、というイメージからあれこれ言葉を探しました。最終的に、雰囲気に合うのがつけられたような気がする。



■瑠璃川幸:天鵞絨駅ホーム(20代・会社員)「スプリング・ソーイング」
「駅で洋服を直す幸くん」は最初から決まってました。相手はどんな人かな~と考えてた時、時系列をあれこれ設定してて幸くんが春になった時点で、ワンピースを着ている人、になりました。春の服っていうとワンピースだなと思います。
幸くんはいろんなところにアンテナ張ってるから、ブランドとかの展開にも詳しいし、技術だけでなく知識もちゃんと勉強してると思うので、ワンピース見ただけでいろいろわかる。
洋服を直すターンのため、買ったけどなかなか着てなかった(メンテナンスもしてなかった)みたいな設定が追加されていったため、詳細ばれたら幸くんに怒られそう。幸くん、初対面の人でもスタンス変わらないだろうなって思えるから、本当にすごいな。
特に意識したわけではないんですが、この話は一人称を出してません。だから、ワンピース着てはいるけど女性とも明言してなくて、それも幸くんらしいんじゃないかな~と思います。
全体的に春の雰囲気があったから、「スプリング」って言葉を使いたいと思って、題名はすぐ決まりました。「spring」と「sewing」で同じ音使えるので。


■古市左京:街中のカラス「夕間暮れの追憶」
カラスです。なんで?って感じですが、人間以外のモブ視点も入れたくて……。各組一人動物入れようと思って、秋組の他のメンバーを決めていったら、消去法で左京さんになりました。カラスと左京さんならわりと似合うし……。
カラスの一人称って何?って思いながら書きました。あと、昔読んだカラスの本が参考になったし、カラスの視力について詳しくなりました。餌を貯める性質があって餌場回るとか、実は視力がいいとか、色を識別してゴミあさってるとか……。「なるほど」って思いながら書きました。
左京さんは根がやさしいのと、カラスが一生懸命生きてることは理解してるから場合によっては見逃してくれると思います。あと、人間側の落ち度を認めたら、カラス相手でも誠実に対応する気がする。なお、このあと左京さんがちゃんとゴミは片付けた。
特に意識してなかったんですが、雨のシーンがわりと象徴的になって「キャラソン……!」って思ってました。
野生動物視点だからちょっと境遇が重いので、結果として左京さんのターンでよかった気がする。



■雪白東:Bar(20代・会社員)「dreamy, dreamy, drink」
東さんならお酒だな……というイメージからするっと決まりました。さすが東さん。作中に出てくるバーは、カンパニーに入る前から御用達のお店をイメージしました。そういうお店、東さんいくつもあると思う。
登場するモブは、とりあえず20歳以上で、あと何か男性にするといろんな意味で東さんに人生狂わされたらマズイから、女性にしよ……という謎の配慮が発動しました。
ただ、書いてて女性でも人生狂わされそうだな……とは思いました。まあ、東さんはやさしい人だから身の破滅とかは招かないけど……。とはいえ、人生における何らかのきっかけを無自覚にもたらしそうではある。
お酒はアイテムとして大好きだから楽しかったです。おすすめするカクテル選ぶ時も、どんなカクテルがいいかな~ってわくわくしてました。ホワイト・レディは、名前や見た目がおしゃれだし、カクテル言葉とか由来とか踏まえても名前挙げるのにぴったりでは!?って思ったんですが、度数高いからたぶん飲ませない。そういうところが東さん。絶対にいいお酒の飲み方知ってるという信頼がある。(カンパニー相手は信頼の上でいろいろやってそう)




■伏見臣:昔ながらの定食屋(60代・自営業)「午前五時の一膳」
臣くんにご飯食べてほしくて……。いつもご飯作ってくれる人だからこそ、誰かのご飯を食べるターンがいいな、から定食屋さんに辿り着く。どんな状況か?を考えてて、カメラマンとしても会社でかわいがられてるといいな~が結実しました。臣くん、やさしくてフォローも上手くて、素直で仕事もちゃんとやってくれて腕もいいとか、かわいがられる要素しかなくない!?
時系列も設定してるので、季節の描写も適宜入れてますが、夏になろうとしてる時期の朝が好き。それもあって、朝早くから開いてる定食屋さんになりました。
繁華街からはちょっと離れたところにある定食屋さんで、古くからの会社がちらほらあるような場所です。なので、そういう会社のランチを提供する店として長く営業してる。臣くんの会社は、昔からこの撮影スタジオ使ってるから定食屋さんとも付き合いが長くて、裏メニューも知ってるみたいなイメージでした。
美味しいご飯を作れる人は、ご飯も美味しく食べると思うし、だからこそご飯を作る人にとって心に残るお客さんになるんじゃないかな。



■卯木千景:水槽の金魚「ガラス越しの世界から」
春組の動物枠。どんなモブでも大丈夫そうだから逆に決まらなかったのと「千景さん、いっそ人間じゃない方がいいかもな」から決定。ただ、動物の種類が決まらなくてちょっと困った。他の組とかぶらないように&鳥類は亀吉いるから別のにしたくて。結果として金魚。
金魚視点とか初めて書きました。描写する時、人間なら普通に書けるものも「金魚は行けるか?」って思っていろいろ調べました。金魚は近視らしいので、はっきり飼い主の格好とかは認識してないし、劇団員の髪色も識別できるかな……って思って色しぼったりとかしてます。緑は識別できるらしいのでよかったです。
身近だけどちょっと遠い動物って感じが、ある意味千景さんらしいかなと思います。千景さんは全然出てこないし(ブロマイドでしか登場しない)、話のトーンとしても隔てられてる感じではあります。でも、これくらいの距離感がちょうどいいかなと思います。千景さん、ファンとはいえあんまり近づかれるの嫌いそうだし……。
「ガラス越し」は水槽からっていうのもあるけど、パソコンとかのモニターの意味も込めました。



■ガイ:道端(70代・無職)「過客来りて」
結構初期に決まってた「熱中症になりかけたご老人に声を掛けるガイさん」。その通りの話です。ガイさんも、たぶん異変を感じたら声掛けると思う。というか、カンパニーメンバーって、基本的に何かあったら声掛けるタイプだよなと思うけど。
熱中症というか、なりかけよりもっと軽度なので、休めば大丈夫です。ただ、道端で休んでただけだと危なかったので、全てにおいてガイさんファインプレー。
劇団だと年長枠だけど、この人は70代なので若者扱いです。若いのに苦労してるな……という意味でもガイさんを偉いなって思ってると思う。なお、この人は今後夫婦で店を訪れるし、ザフラ料理が思いの外ヒットしてよく食べにくるようになる。ガイさんが劇団員だってことを知るのはもうちょっと後だけど、最終的に奥さんがカンパニーに興味を持って、結局一緒に舞台を見に来るようになります。
題名はガイさんと言えば「Journey」だし、モブが人生という長旅を続けている人なので、旅人要素・店に来る人なのでお客さんがいいな……から、そういえば何かそんな単語なかった?って探しました。ありがとう「奥の細道」……。



■シトロン:商店街へおつかい(10歳未満・小学生)「Hello, princess!」
シトロンの時点で商店街を舞台にしたかった。どこかの店の人も考えたけど、それはゲームでも出てきそうだしな……と思って、商店街へ買い物に来てる人に。どんなパターンでもシトロンなら問題なく仲良くなるので、かえって難しかった。最終的に見たいものに素直になって、小さい子とシトロンになりました。絶対かわいい。
そこからどういう話になるか考えた結果、おつかいに来て、何かあってシトロンに助けられる話かな?と思ってそういう感じになりました。たぶんこの子は小学校一年生くらい。「ゆーちゃん」は弟か妹かどっちかですが、性別不詳っぽい愛称にしました。
いざ買い物しようとしてお財布がないってなったら、絶望的な気持ちになると思います。そこで声を掛けてくれるくだり、自分で書いてても安心感すごいな……って思いました。なお、財布は秒速で見つかる。(万が一本屋になくても、シトロンが声掛けたらみんな協力してくれるから……)
小さい子相手だと、シトロンは日本語間違えないはずだし、すごく親愛を持って接してくれるんだろうなと思います。今後この子はシトロンと仲良しになって、顔を合わせるといっぱい話しかけてくるようになる。



■摂津万里:古い映画館(20代・学生)「マイ・シネマ・パラダイス」
オチ以外はわりと初期に決まりました。人が来なさそうな映画を、古い映画館でたまたま一緒に見ることになるモブのイメージ。万里って最初はマイナスの印象でも、話してみたら見方が変わるタイプだよなと思います。そこが万里の魅力につながってる気がする。
良く思ってない人間すら顔の良さは認めざるを得ないっていうのが好き。悪態吐きながら褒めてるからなこのモブ。なお、恐らく同じ年くらいなのでたぶん大学生なんですが、大変書きやすかったです。
どうしてモブが映画見にきたのか特に考えてなくて、書いてて自然発生しました。万里の顔をちゃんと見ていることの理由づけにもなったので、書いてて「おお」と思いました。
そして、結果として「役者」への力強い肯定になって、個人的にこのオチが好き。モブは万里を役者じゃなくて制作の人間だと思ってるからその意味をちゃんとわかってなくても、実は力強い言葉を掛けている。
題名は「マイ・シネマ」(お気に入りの一作)を見られるパラダイスと、自分だけの「シネマ・パラダイス」(映画館の幸せな時間)のどっちも取れるようにつけました。



■御影密:予備校に通う高校生(10代・学生)「state your answer」
密とモブってどこで接点が……?って思いました。ガイさんのバーは考えたけど、基本的にこの話には他の劇団員出さないようにしてるから、それ以外がよくて……。
そうなるとどこかな~って考えてて、密のバイト先とかもありかなぁと思ったんですが、密担当のモブは年齢設定的に高校生くらいがよくて。(他の冬組との兼ね合い的に)そこから、モブ高校生について考えてたら、高校生とコンビニの組み合わせが好きでこうなりました。
恐らくこのモブは妄想力が豊かなタイプだから、密のキャラクター要素満載な感じを敏感に感じ取ってるんだと思います。九門くんと話が合うタイプ。
目撃するとしても一回だけだと弱い→複数回目撃するには→何らかの習い事とか→予備校かな、みたいな連想ゲームから受験生で予備校に通ってる高校生になりました。ここから、「問題と解答」の流れになる。結局何もわかってないけど、常人じゃないことは感じたと思います。ちなみに密がモブを見てたのは当然視線を感じたからですが、最終的に無害だと判断したので何事もなく去りました。この話もそういえば一人称がない。
題名の「state your answer」は「解答を述べよ」みたいな意味です。



■茅ヶ崎至:動画視聴者(20代・無職)「ワンルームワールド」
至さんの時点で、配信動画見てるモブがいいなってわけで、そこはわりと初期に決定。どんな人かな~って考えた時、社会生活向いてない人がいいなと思って、バイトを辞めた無職になりました。
モブ、学生以外だと会社員が多くなりがちなので、そうじゃない人も登場してほしいな……というのがあった。何も全員ちゃんと働いてるとは限らないし……。至さんのターンであれば、そういう人をちゃんと肯定できる気がする。
至さん自身、社会生活くそくらえ(と思いつつちゃんとできるのがすごいけど)って人だから、そういうのを嗅ぎ分けてるというか……。根底の姿勢として、絶対馬鹿にしない人なので。
たるちの動画ってどんな感じだろう?っていうのをいろいろ考えました。ガチゲぶりを発揮したプレイ実況動画とかかなと思うけど、レベリング上げとかちゃんとするし、コツコツプレイ動画もあるような気がする。たるち、ミニゲームもやり込んでそう。
至さんのガチゲ具合がときどき誰かを助けてたらいいなって思いながら書きました。しかしこのモブ、たるち嫌いにならないようちゃんと回避できてるから、結構しっかりしてる人だと思う。



■高遠丞:散歩中の飼い犬「わんすてっぷ!」
冬組の動物枠。というか、モブ視点を考えた時「丞は犬視点がいい」ってなったので、そもそものきっかけはここ。ここから各組一人動物視点を入れることにしました。
この子はまだ若くてお散歩も大好き、家族も大好き、人間も大好き。特に犬種は書いてませんが、十中八九ゴールデンレトリバーだろうな……って思ってました。何となく大型犬のイメージだったし、人間に対してめちゃくちゃ友好的なので。
昔読んだ本で、犬の幸せは大好きな人と一緒にいること、散歩すること、空腹でないことだ、みたいな文章があってそれがずっと頭に残ってます。
素の丞は特に年下の男の子に好かれるイメージがある。ぶっきらぼうだけどそういう所が硬派とか思われるし、あとやっぱり体格がっしりしてるのはカッコイイんじゃないかな。人間相手だとわかりにくいやさしさも、恐らく犬はわかってる。なので寄ってくるし、丞も犬相手だとちょっと素直になりそう。
題名は犬だから「わん」で、飼い主のお兄ちゃんが、新しい世界に一歩進んだってところから。今まで興味なかったけど、その内舞台見に行く。あと、丞ひらがなの題名似合わないな……ってわけで「絶対ひらがなにしよう」って思ってました。



■碓氷真澄:パン屋店員(10代・学生)「カレーパンの王子様」
かなり最初に題名と内容が決まった話。パン屋店員の間で「カレーパンの王子様」ってあだ名をつけられる真澄くんのイメージがめちゃくちゃあった。真澄くん、監督のためにカレーパン情報ものすごく詳しいし、いっぱい買ってこようとするじゃん……。たぶん、今の真澄くんは監督にあげる分以外に、カンパニーという家族のことも考えてくれてるから、たくさんのカレーパンを買おうとする。
あれだけ整った顔だから、しょっちゅう来てたら恐らく認識されるし、さらに毎回大量のカレーパン買おうとしてたら店員間で絶対話題になるだろうなと思います。
クールで感情の読めない真澄くんだけど、カレーパンを手にした瞬間だけちょっと笑ってくれるっていうの、真澄くんのやさしさが見えて好き。
このモブは「パン好きなんだろうな~」ってぼんやり思ってましたが、書いてる内に思いの外ガチ勢っぽくなって笑った。真澄くんに対しても、顔がいいとかはほぼ興味がなくて、カレーパン愛の点において好感度が高い。この子たぶん、パン屋巡りした店とパンの感想とか記録つけてるし、そういうインステもやってると思う。



■皆木綴:天鵞絨駅前(50代・パート)「未完成地図」
カンパニーのみんなそうだと思うけど、中でも綴は一番自然に人助けできる気がする。「あ、迷ってるのかな」って思ったら即声掛けてくれるでしょ。
綴はそれこそどんな場面でもモブとからめそうなんだけど、モブをいろんな年齢にしたいな~というところから、この辺のゾーンならどこで出会うかな、とか考えた結果駅前で迷ってる人に。
天鵞絨町の劇団に用があるけど、よくわからなくて迷ってるところを助ける綴、というところからいろいろ逆算して書きました。天鵞絨町慣れてないんだろうな、ということで地方からやって来たって設定にしましたが、初めて来たらお祭りやってるのかと思いそう。
息子の設定は何にも考えてなかったんですが、落ち着きがない・住所が不特定辺りから、移動劇団に所属して各地を回っているというオチになって面白かったです。その後、この息子は母親が綴のこと知っててびっくりしてそう。(MANKAIカンパニーそれなりに有名であってほしい)
題名は、作中の地図がちゃんと機能してないという意味の「未完成」と、モブの息子自身の人生地図も恐らくまだまだ未完成だろうなってところから。一つの言葉で複数の意味つけられるのが好き。



■向坂椋:書店(30代・会社員)「On ne voit bien qu'avec le cœur.」
少女漫画を買うのが恥ずかしい会社員が椋くんと出会う、というイメージだったので多分この人は男性なんだろうな……みたいな感じで肉付けしながら書きました。最初は20代だったんだけど、これもうちょっと年齢上だなと思って30代へ。まあ、正直当人が気にするほど周りの人は気にしてないし、たぶん意外と普通に受け入れられたりもするんだけど、これはもう本人の自意識の問題だから難しいところ。
そんな時に現れるのが椋くんです。椋くんはカンパニーに入ってから、好きなものをはっきり好きって言えるようになったんじゃないかなと思います。その姿勢が、今回このモブに勇気を与えて好きだって気持ちを表に出せました。
題名は「星の王子さま」(正確に訳すとリトルプリンスなので、椋くん……!ってなる)から。有名な「大切なことは目に見えない」の前の部分で「心で見なければ物事は見えない」みたいは意味です。
なかなか題名が思いつかなくて、いろんな詩とか名言とか調べてました。書店の話だし、本から引用したくて……。結果として、椋くんらしい・本屋にも似合うぴったりなところに行き着いて嬉しい。



■月岡紬:家庭教師先の保護者(40代・会社員)「プレゼント・レッスン」
紬とモブを考えたら「家庭教師に行ってる家の子の親」だな……とすぐ決まりました。さらに、紬の花要素から「花を買いたいけど慣れてなくてためらってるお父さん」に行き着く。この属性あんまり書いたことないから新鮮だった……!
家で最近花の話題が増えたのは、流行りのドラマの影響もあるけど、たぶん紬の影響もあると思います。紬は保護者からの評判すごく高いんだろうな~って思いながら書いてました。社会人らしいやり取りって、カンパニーだとあんまり見られないから新鮮だったし楽しかった。
「代わりに選んでもらえませんか」って言われて、にこやかにノーと答える紬が好き。紬のことどう思ってるのかよくわかるシーンだな。あのメインストを経た紬なので、自分の意見しっかり通すようになってると思います。それでいて、さらにプラスになるような提案してくれるのが紬なんじゃないかな。
題名はいろいろ考えましたが、花を贈るにあたってのあれこれを教えてくれる紬だから「レッスン」かな?というところに落ち着く。人のことよく見てるのもあるし、花という得意分野なら選ぶの上手そう。



■斑鳩三角:町内の野良猫「ムーンライトナイト」
夏組の動物枠。各組一人動物視点、という時点で夏組は猫で三角だな、とすぐ決定。天鵞絨町って何か猫多いし、猫にとっては暮らしやすい場所なんじゃないかなぁと思います。だから、猫ネットワークによっていろんな所から流れ着いてる猫いそう。
その中の一匹から見た三角の話です。三角の何がありがたいかって、当然のように意思疎通が図れることです。会話が成り立つ……!なので、境遇とかもお互いちゃんと理解しているという。
三角は猫にも見守られてたんじゃないかな、と思います。自分たちの言葉がわかる子だし、何よりやさしい子なので。本人も気づかない寂しさを知ってて、誰か一緒にいてくれたらいいなって思ってて、夏組との出会いを心から歓迎している猫たち。
ちなみに、この猫は三角を見守るって約束してるけど、三角の方もこの子を見守るってジイサン猫と約束してる。
三角は何か月のイメージがある。おつきさまとうさぎさまイベントの影響だなたぶん……。この場合の「ナイト」は「night」で「knight」だからカタカナ表記です。猫も三角も、お互いの騎士みたいなところがある。


■佐久間咲也:はなむら常連(30代・会社員)「陽だまりの午後へ」
最初に書いた話。カンパニーとモブの話、という時点で初めに思い浮かんだのがこの話でした。今もバイトしてるのか、バイト先で果たして名札をつけてるのだろうか、とか思ってますが、咲也くんのファンになって積極的に店へ通うモブが見たかった。
洋食屋はなむらについては、捏造万歳って感じですがメニュー考えるのも楽しかったです。通い慣れすぎて、メニュー見なくても注文できるモブ。
咲也くんの接客ってすごく丁寧だろうし心を込めてるのわかるから、好印象になると思います。くわえてあの笑顔を向けられたら、ファンになってしまうのでは……。咲也くんの笑顔は、いろんな人の心を温めてると思います。
このモブはその内、雑談から劇団員だって知って「私が行ってもいいのか!?」ってさんざん葛藤して、一回くらいは……って舞台に行ってそのまま春組ファンになると思う。
なお、咲也くんは常連の顔は当然覚えてるから、このモブのことも認識はしてます。劇場来た時も「あ、あの人だ」ってわかると思う。ただ、そういうの言及されたくない人もいるかなってわかってるから何も言わない。



■三好一成:画材屋(70代・アルバイト)「La Vie colorée」
やっぱり一成は絵関係がいいなと思って、画材屋さんで出会うモブに。にぎやかでうるさいのは事実だけど、周りのことはちゃんと見てるし、それで迷惑掛けたら謝るんじゃないかな~と思ってます。
目があった人とは友達になれる、をどんな人でも実践しそうだからこんな感じに。年齢差とか気にしない。何より、「年を重ねる」ことをものすごくポジティブにとらえると思います。何かを失っていくよりも、新しい色が増えるみたいに思う人であってほしい。
というわけで、題名は「カラフルな人生」という意味のフランス語です。英語だとそのまますぎるな……っていうわけで、いろんな言語で調べました。その過程で、やっぱり絵画関係だし一成のイメージ的にフランス語かなぁというわけで翻訳見てたら、「ラヴィアンローズ」の系譜だなと気づいた。あのスカウト、インパクト強いしイベスト的にも印象に残ってたし、似たニュアンスにしたいなと思ってこの題名。
このモブは、仕事が好きで定年後も働いてます。それを知った一成は「生涯現役!? かっこいい~!」って話が弾むし、モブはちゃんと展覧会に行きます。


■泉田莇:冬休みの小学生(10代・小学生)「Little Adventure」
莇くんモブ、相手が意外と難しい。コスメ関係も考えたけど、女性相手になりがちだし、そうなると莇くんが挙動不審になる可能性が上がってしまう……。小学生女児とかでも、コスメに興味があるとなるとちょっと大人びてたりして、下手すると莇くんが負けそう。
結果として、冒険に来た小学生(迷子)と会う話に。この子は恐らく小学五年生とかその辺で、考えなしに突撃して無茶やるタイプです。帰り道のこと、一切考えずにふらふらして案の定帰れない。莇くん、こういうタイプなら扱い慣れてると思う。
時期的に新年を迎えた後の冬休みなので、莇くんは実家に帰ってるし泉田家めちゃくちゃ挨拶とかいっぱい来てそう。最初は我慢してちゃんと顔を出してたけど、そろそろ嫌になってたところに迷子と出会って、これ幸いと「保護」することにしました。素直に人助けする気持ちもなくはないけど、莇くんの場合こういうところもあるんじゃないかな~。
このモブはそういう共犯関係の方が面白がると思う。莇くんはこの後ジュースとかおごってくれた。なおモブは当然怒られたけど、冬休み明けの学校で武勇伝っぽくこの話する。



■兵頭十座:カフェの前(20代・会社員)「スイーツタッグチーム」
十座といえばやっぱりスイーツ&店で遭遇するイメージがあって、この辺りが総合してできました。あと、全体的にモブが話しかけられるターンが多いので、モブの方から話しかける話にしたかったのもあります。十座に声掛けるこのモブ強い。
最初は30代だったけど、甘いものが好きなことに気負いがないのと、勢いで声掛けられる辺りからもうちょっと若い気がして20代に変更。
十座はびっくりしただろうけど、ちょっと嬉しかったりするのかも。この後二人で美味しくパフェ食べました。ちゃんと十座の真面目なところとか真っ直ぐなところに気づいてくれる人で、怖がりもせず楽しんでくれたので、たぶん仲良くなれるんじゃないかな。
さすがに、この時連絡先とかは交換しないと思うけど、ときどき他のスイーツ店でも目撃することになって、お互い何となく顔見知りになってほしい。あまりにも何回か遭遇が続いたら、「もうこれ協力関係になった方がいいのでは……?」というわけで、モブが連絡先の交換を提案します。
その内十座が劇団員だということを知って、カンパニーにも観劇に来てくれると思う。



■皇天馬:ファンクラブ会員(10代・学生)「私の一番星」
皇天馬ファンの女子高生という概念が好きです。なので、一人称書いてないけどたぶんこのモブは女子。
かなり最初に、題名と中身が決まった話。カンパニーとモブ、という時点で天馬は絶対女子高生のファンが良くて……。この概念は、結構前からずっとあったのでゲームやってる時から端々で思った。案の定書きやすい。
天馬大好きで何しても「かっこいい」って思ってるファン、とても楽しい。天馬のファンクラブってどんな感じかって考えてわくわくしてました。カンパニーほど素は出してないと思うけど、ちょっと子供っぽい顔は見られそう。あと、絶対端々でカンパニーの話出てくるし毎回夏組の話はするでしょ……。ファンもにっこりしてるよ。
天馬ファンは顔で好きになる人が多いけど、そこから役者として好きになるイメージがある。恋というより、スターとしてのファンが多そう。天馬はきっと、ファンが抱いてる気持ち(天馬は誰より一番きらきらしてて、天馬を好きになったことで毎日が輝いてると思う)を大事にして、芸能人として活動してるんじゃないかなって思ってます。



■立花いづみ:MANKAI劇場の観客「Four seasons has come!」
最後は必ずいづみちゃんにしようと思ってました。締めくくりは、MANKAI劇場のお客さんにすることも。
ここまでのモブは、「MANKAIカンパニーの劇団員」以外の接点になるよう書いています。でも、この話だけはしっかり「MANKAIカンパニー」と関わるモブです。
あんまり夢要素はないつもりだけど、もしかしたらここだけは夢なのかもしれない。天鵞絨町訪れたい気持ちとかカンパニーの芝居見たいっていうのは、ある意味プレイヤー視点なので……。MANKAIカンパニーの公演を見た時の「春組に心をつかまれ、夏組と最高の時間を過ごして、秋組から胸を焦がすような炎をもらい、冬組の世界に惹きこまれる」とか、ほぼストーリーの感想だし。
最後だって正直、いづみちゃんに「ようこそ、MANKAI劇場へ」って言われたくて。いづみちゃんこういうこと言うかな?って思うけど、どうしても言ってほしくてこの構成にしました。楽しかったです。
他の劇団員は出さないようにしてるけど、組はオッケーにしてるのと、やっぱり始まりの春組からにしたくて春組公演を見に来る設定にしてます。春組から何もかも始まったんだなぁと思ってるので……。
そして、いづみちゃんの話であり、MANKAIカンパニーの話だから、四季をちゃんと入れたかった。「やわらかな春、まばゆい夏、燃え立つ秋に、凛とした冬」は四つの組で、リーダーズのことでもあります。
そういう話なので題名も「Four seasons has come!」。このモブの話全体も、春から始まって季節が一巡するということもあって、結びの話にこの題名がぴったりなんじゃないかなと思います。




■「片隅のファンファーレ」
カンパニーとモブの話が大好きなので、完全に私の読みたい話を書きました。楽しかった~!!
しっかり関わりがあるというより、ちょっと遠い位置で見守ってたりすれ違ったりするだけみたいな、そういう話が好きです。MANKAIカンパニーの芝居を見て大好きになるモブも楽しいんだけど、それより外側でのみんなを想像すると、あの世界で生きてる様子をもっと鮮明に思い描ける気がする。
全体的な題名としては、あくまでもモブの話なので「片隅」。カンパニーのみんなが生きてる世界のどこか端っこですれ違う人たちです。でも、そこでカンパニーに送るものは、好意であったり応援の意味であったりするので、そういうものの象徴として「ファンファーレ」。芝居という意味だけではなく、人としてのファンという意味で同じ音だから、というところもあります。(語源的には違うけど)
片隅という地味さと、ファンファーレの持つ突き抜けるような華やかさ、二つがあわさった題名で個人的に好き。カンパニーのみんなに、世界の端っこから祝福や声援を送る、というイメージです。




■書くにあたってのあれこれ
カンパニーとモブの話を書こうと思った時、もともといくつかイメージはありました。ただ、全員分は決まってなかったからまずは対象となるモブから決めてます。
カンパニーのみんなが若いこともあって、全体的に年齢層は低め。10代(以下)~30代が多くて20代がメインかな?ただ、せっかくなので他の年齢層も入れたくて、上は70代です。いわゆる中年層はあんまり書いたことがないから新鮮でした。今回、いろんな視点で書いたからその辺いろいろ試せて面白かったです。自分とは全然違う属性のモブ視点、勉強になることが多い。
一番書きやすいのは学生で、特に大学生が一番書きやすかったです。この辺は私の得意ジャンルというか、学生ものたくさん書いてるから……。今まで書いた数が絶対的に違うから経験値の差かな~。
小学生視点自体は何回か書いたことあるけど、毎回語彙力で悩む。一人称視点は、そのキャラクターの語彙力を考慮する必要があるからちょっと難しいんですよね。その点、年齢層上だと大体言葉知ってるから書きやすいということを知りました。
まあ、最終的には「人間視点書きやすいな」になるんですけど。カラス・金魚・犬・猫視点で書くからですよ。この内、一番難しかったのは金魚です。水棲生物だから生きてる環境が違いすぎるのと、人間に対する理解度をどこまで持ってくるか?という意味で難しかった。たとえば、犬や猫なら人間が仕事に行ってることは理解すると思うし、カラスもたぶんわかるけど、金魚が理解してるのはどうなんだろうかとか。
それ以外にも、純粋に地上で肺呼吸してる生き物の方が描写しやすかったです。発声とかするし。コミュニケーション取る生き物は書きやすいんだなぁということを学びました。(エースリーで学ぶことではない)
ちなみに、モブの年代とか性別とかは一応表でまとめてはあります。特に具体的なイメージのなかった団員は「この組、ちょっと年上ほしいから30代は止めてもっと上にしよう」とかいう決め方をしてました。まあ、バランスいいの春組くらいだけど……。

その他決めたこととしては「季節」「時間」があります。具体的に、何月の何時くらいかも決めました。というのも、「春から始まって春で終わる」という形にしたかったから。そういう並びにするため、全て季節を決定する必要がありました。
なので、始まりの誉さんは春で3月だし、終わり(いづみちゃんの前)の天馬は冬で2月です。(いづみちゃんは3月って決めてたから)
さらに時間まで決めたのは時系列順で並べるためです。だから、たとえば同じ月でも時間が早い方が先に来る、という並びになってます。そういう風にして、ちゃんと季節を一巡したかったんですよね。明確にそういうことを書いてはいないけど、実はちゃんと話の中で時間が進んで、朝から夜に向かって、季節を重ねて春になるという話です。

ちなみに、話として季節が決まってるもの以外特に縛りとかなかったんですが、一つだけ決めごととして、各組該当の季節にならないようにしました。(春組は春以外の夏か秋か冬にする)だから、わりと近い位置に同じ組のメンバーがいたりします。
あと、全員文字数が3,100字~3,200字に収まるように書きました。中途半端な文字数は、最初に書いた咲也くんの話がこれくらいだったから。キリのいい数字でもよかったんだけど、恐らくこれが最適な文字数なのかなって思ってこうなりました。
すごく短い話とすごく長い話、とかになるのが嫌で……。カンパニーのみんなには差をつけたくなくて、全員大体同じ文字数で書くっていうのは決めてたので、ちゃんとその通りに書けてよかったです。

各話題名つけるのも楽しかったです。題名つけるの、得意ではないけどぴったり来るの思いつくと嬉しい。
最初から決まってたのは、真澄くんの「カレーパンの王子様」と天馬の「私の一番星」かな。おかげで、ここは最初からイメージ固まってた。
題名に関する縛りはほぼないけど、何となく各組必ず「日本語」「カタカナのみ」「日本語以外(英語とか)」の題名をつけようかな~というのは考えてました。全組ちゃんと則ってるはず。
一つ一つ、こういう話ならこんな雰囲気かな?こういう言葉が似合うかな?って思いながら、題名を決めました。25個、愛着のある題名がそろってとても嬉しい。



カンパニーとモブの話、もともと読むのも大好きなので、書いててすごく楽しかったです。この世界のどこかにいる誰かとのワンシーン、芝居以外の場面でもみんなが生きてるんだなぁって思えてとても好き。