「終演までは、どうかワルツを。」1話~3話
1話目
■「いつか手放す恋だった」
ある意味ずっとこの言葉がこの話の根幹であり、全編を通しての問いだった気がする。あと、私がこういう「終わりにしなくちゃいけない」って思いながらも誰かを大切に想う話が、大っ好きなんですよね!!!
元々、未来のてんかずを妄想するにあたって、どうしても天馬の影響力というものを考えてしまうので(ゲーム時点でも天馬は相当名前を知られてるし、未来とかになったらそれはもうスーパースターになると思ってるので)、二人の思いが通じ合ったからめでたしハッピーエンド!にはならないよなぁというのもありました。素直に考えると絶対一成が身を引くんだよな!?ってなるけど、てんかずには結婚していただきたいので、最終的に「天馬と人生を共にすること」について一成が覚悟するまでの話になりました。たぶん、天馬はもっと前の段階ですでに覚悟してると思う。
■天馬の家
この場面は「写真」(二人の積み重ねた時間)「朝食を一緒に食べる」(二人きりで夜を共にする関係)をメインで組み立ててました。あと、出すべき情報としては、二人が共通して認識している例のアクセサリーショップと、天馬の誕生日がもうすぐであること。あとのエピソードにからむので。
なお、天馬がフォトフレームあるって知ってたのは、この時点で指輪を作るためにお店に赴いてたからです。
>一成は一瞬意外そうな顔をした
本文でこう言ってるのは、「テンテンあのお店に何の用だろ」って思ったからだったり。
写真のくだりは、「一成がわざわざ印刷して入れ替えている」っていうのが、一成らしい愛情深さのつもりで書いてました。わざわざ印刷してなおかつ入れ替えるのって、わりと面倒くさいんですよ。それをやってるの愛情以外の何物でもないじゃん!?
リビングと寝室で飾る写真を分けてるのは確かに一成の気遣いだし、誰に見られるかわからないからっていうのが一番なんだけど、ちょっとだけ、自分が恋人じゃなくなっても寝室のフォトフレームを片付ければ済むっていう配慮があったりします。最初から別れを前提にしているところがある。
あと、「オレ、テンテンが笑ってるとこすげー好きなんだよね」っていう一成の本音をこぼしてもらいました。これもやっぱり、根幹というか「天馬に笑っていてほしい」っていう一成の願いを冒頭に出したかった。一成の一番の望みはたぶんずっとこれなんだよな。
でもとりあえず、天馬の家のシーンは「いちゃついてて」って思いながら書いてた。相思相愛な二人の現在地なので!
■デザイン事務所
完全に趣味。ここは「一成の仕事の様子」「夏組の現在の話」「ちょっと前のスキャンダル関係回想編の橋渡し」で組み立てたんですが、予想外に長くなった。楽しくなったからだよ!
一成の担当者、趣味に突っ走ったモブなんですけどたぶん一成のことちゃんと信用してくれてるんですよ。だって、大学卒業したての実績たぶん大してない一成を使ってくれただけじゃなくて、今日まで関係が続いてるってことは、お互いの能力をきちんと認め合ってくれているってことだと思うので。あと、付き合い長い取引先って本当に下手な身内より話通じるんだよな……っていうのがあって、一成とそんな関係でいてほしかった。
■スキャンダル関係
最後の突撃取材からのストリートACTへつながる話。……なんですけど、これ本当に大丈夫か??って思ってました。炎上ネタとか配信で返すっていう点は11幕で出てきたので「!?」ってなったものの(書いた時点ではまだ11幕配信前だった)、「あ、これはアリなんだな」と思えて良かったんですけど、コメントとかわりとキツイやつだったから大丈夫かなって心配してました。ゲーム本編はさすがにそこまでキツイ描写はなかったし。11幕、真面目に万里に辛い言葉浴びせられるんじゃないかとめちゃくちゃ冷や冷やしてたんだよ……。結果的にそこまでのコメントとかはなかったからよかったけど、こっちの二次創作はわりと辛いことを言われてしまっているので……。書きながら「ごめんよ」って思ってました。書くけど。
このシーンは、一成が恐怖を自覚するターンでもありました。元々そういう可能性は考慮してたけど、改めて事実として突きつけられて、「自分のせいで天馬を傷つける」という現実を目の当たりにする。だからこそ、「別れを選ばなくてはならない」という決意が強固になっていく。
配信関係は特にモデルはなく、色々調べたものを融合した結果です。というか、この未来にLINEやTwitterやインスタに通じるものがまだ存在してるか謎なので、具体的な名前は出さないようにしようと思って、SNSで統一してました。まあ、ほぼ何イメージしてるか丸わかりだと思うんですけど。
一成はたぶん、周りをよく見て空気を読んで色んなところにアンテナ張っていられて頭の回転も速いから、配信めっちゃ得意だろうな~って思ってた。本人も楽しんでやってると思うし、配信界隈では有名だと思うんですよ。話も上手いだろうし炎上しないし面白いし交友関係広いからゲストとか色々呼んでそうだし。なので、ゴシップ記事→配信で反撃はずっと考えてたものの、最初はそこまで夏組がからむ予定はなかった。でも書いてるうちに、「これは夏組を召喚しないといけない気がする」となり参戦してもらいました。現実的に、全員そろわないと天馬の炎上(しかけ)トレンド鎮火できないだろと思ったのと、たぶん天馬を守りたいのは夏組全員の意志だろうなぁと思ってこんな感じです。
しかし、茅ヶ崎至がめっちゃファインプレーすぎるのであとで夏組にたくさんお礼をされてほしい。
■カフェにいる一成
引き続き仕事してる一成の様子と、今度の天馬誕生日パーティーの話、くらいだった。でも、気づいたら一成の恐怖を補強するエピソードになって、「なるほど」って思ってました。あと、「分岐点」のエピソードも途中で入れたから、書いてるとアイディアって湧くよな~ってしみじみ思いました。
お店にモデルはないけど、>魔法使いの家をイメージしたカフェ どんな感じか見てみたい。探したらありそうだな。
2話目
■アクセサリーショップの夢
この時点で、「天馬は思い出の店で指輪をオーダーメイドしている」「それがきっかけでスキャンダルになる」「誕生日パーティーのプロポーズの時にこの話が出る」は確定してたので、アクセリーショップのくだり入れないとな~と思ってできた話です。
ただ、プロット時点ではそんな明確に婚約指輪の話までなかった。単に「思い出の店」くらいだった。なのに書いてたら天馬が指輪は将来のために取っておけとか言い出すから……。
いつか失くすと知りながら見る愛おしい過去とか、こういう、いずれ別れると思いながら幸せで仕方なかった過去を夢に見るってエピソードがめちゃくちゃ好きな人間なので、このエピソードが完全に趣味を詰め込んでて自分で感心した。
■天馬の誕生日
プロットほぼ何も決まってなかったので、完全にノリでできた話です。いや~楽しかった~!団員みんな書けて楽しかった……。
ヒマワリを一本ずつ渡すっていうのも、気づいたら何かできてた。どこから来たのか本当一切覚えてないけど、このイメージが浮かんだ時点で「絶対やってほしい」と思って全員分書きました。一人ずつにヒマワリ渡される天馬、みんなに大事にされてる感がとても出てて嬉しい。
各キャラのその後を好き勝手捏造しましたがそれも楽しかったです。みんな色んな分野で活躍してるって信じてるよ……。あと、一成の意図をばらす(商品を用意している・ヒマワリの渡し方)のが千景と紬なのは、あのマインドバトルペアなら心理戦的なあれでわざとばらすかなって。当然てんかずの関係気づいてるし、何なら一成が身を引こうとしがちなところも気づいてそうなので、一成の愛情を天馬にちゃんと伝えたかったんだと思います。なお、この時丞が「どうせブーケにするなら、最初からブーケで渡せばいいだろと思ったんだが」って情緒の欠片もないこと言ってるの、「マジで丞言いそう」って自分で思ってウケてました。
そして、中庭のラクダ(等身大)は完全に悪ノリの産物です。誰も止めない。何やかんやあって、このラクダは今も無事天馬の家にあるし、わりとみんなに可愛がられてます。たぶん名前つけられてる。
3話目
■誕生日パーティーとプロポーズ
中庭のダンスシーンは、最後の海辺のシーンに必要だったため。そもそもタイトルに「ワルツ」って入ってるのでどこかで踊ってもらいたかったっていうのもあるし、あとは各組レクリエーションからちょっとしんみりした空気にするのに必要でした。
ここの回想編はプロットの時点では一切エピソードがなくて、時系列を考えてたらできました。二人の付き合いについて何も考えてなかったんですが、この一成のメンタルだと今に至るまでにどこかで別れてるんだよな……となったので渡欧してもらった。天馬の大学時代から付き合ってたとしても、そのまま付き合い続けてってことなさそうなんだもんこの一成。そんなわけで一旦別れる→復縁する、の流れになったのでまあそこのエピソード必要だよね~って考えてたらこんな感じになりました。一番読みたかったのは、友達の関係から互いの気持ちに気づいちゃって、天馬が一成に無理矢理キスするところでした……。「いやなら止めろ。殴れ」ってところをとても読みたかった。(私たぶん、二人のキスシーン大好きなんだなって今書きながら思いました)
余談ですが、このシーンをうっかりバルコニーの談話スペースに設定したおかげでゲームやってる最中にここが背景に映ると「ここが例のあのシーン」みたいな気持ちになるという弊害が発生しました。ごめん。
プロポーズのシーンは正直ずっと、「天馬カッコイイな~」って思いながら書いてた。
>お前を諦めなくてよかった
とかめちゃくちゃカッコイイじゃないですか天馬。そのあと、天馬が一成の好きなところを言うところも好き。天馬は一成のわかりにくい心を自分だけは気づいてやりたいみたいな独占欲があってほしい。あと、自分のワガママを「困ったように」受け入れてくれるのが天馬はたぶん好き。いつもの笑顔で普通に受け入れるんじゃなくて、困ったなっていう表情をちゃんと見せて、だけど最終的に受け入れてくれるっていうのが、自分のことを特別に思ってるっていうのを如実に感じられて好きなんじゃないかな~。自分で書いてて「もう天馬一成大好きだし天馬カッコイイしこんなに素敵なのに断られるんだよな~」って思ってました。いや本当、相思相愛なのになんで??だよな本当に。まあでもこの時点の一成のメンタルだと受け入れられないんだよ……。
この時の一成の言葉が、本編全体を通しての一成の葛藤であり向き合うべき問題であり、最後に向けての問いでもありました。実際問題として、どうしても「普通ではない」ことの葛藤は生まれると思うんですよ。自分自身と向き合って「普通じゃなくてもそれが自分だ」って納得できるようになったとしても、たぶんどこかのタイミングで「どうして自分は普通ではいられないんだろう」みたいな気持ちはどうしたって忍び寄る。普通から外れるのは決して悪いことではないし、罪悪感を持つ必要もなければ、そもそも人間全てのカテゴリで普通に入れるとは限らない。わかっていても、どうしても「普通の形」を持てなかった自分が何か酷く間違ってしまったような気持ちになる時はある。
それに加えて、てんかずの場合は、あまりにも皇天馬という名前が大きすぎる。襲い来る悪意とか嫌悪も比例するように大きくなって、将来に差す影も濃くなるっていうのを一成は理解してしまうから、だから手を放さなくちゃいけないって結論になってしまう。
っていう場面なので、自分で書きながらわりと辛かった。幸せにしたいのにどん底に突き落としてるの私ですけど……。
最後、自分に「笑え」って言うシーン、たぶんきっとちゃんと笑えてしまうのが一成なんだよなぁと思ってました。