■ホテルにて――本編を通しての一成の答えで覚悟、あるいは三好一成のI love youについて。
そのまま訳せば「愛してる」になるI love youですが、あまりにも芝居がかっているというか、「愛してる」って日常の延長で出てこない言葉だよな~と常々思っているというのがあります。(いや、めちゃくちゃ「愛してる」似合うキャラもいるんですけど)だから、心からの言葉として愛を伝えるなら、もっと別の形をしてるんじゃないかなと。たぶん、それぞれが自分なりのI love youって言葉を持ってるだろうなと思ってて、それぞれどんな風に愛を伝えるかなというのはよく考えます。
それでずっと一成について考えてた時、三好一成のI love youは「ごめん、オレのために傷ついて」だなっていうのが、そもそもこの話のスタートでした。この言葉を言うシーンが最初に思い浮かんだので、全てはここに向かって話を組み立てています。
だから前提として、「天馬にずっと笑っていてほしい」(天馬を傷つけたくない)一成がいて、だけど自分という存在(同性の恋人)のせいで天馬が貶められて未来に影が差して悪意を向けられる、というスキャンダルに遭って、その上で夏組のみんなに背中を押される、という流れでした。そして最終的に、「それでも一緒にいたい」と覚悟して天馬に「ごめん、オレのために傷ついて」と言ってほしかった。
一成は周りの人をとても大事に大切にするから、そういう方面でのI love youかなとも思ったんですが、何と言うか、I love youって「たった一人」に向ける言葉だろうなと。一成は大事で大切にしたい人はめちゃくちゃたくさんいると思うんだけど、その中のたった一人に向ける気持ちって何だろうと考えてた時、それはもしかしたら、一成にとって一番怖いことを選ぶってことかもしれないと思ったんですよね。怖くても、それでも選んでしまうもの、手放せないもの。楽しいことを見つけることが上手くて、何だって笑顔に変えていくことが得意な一成だからこそ、怖さの上で手を伸ばそうとする心はたった一人への特別なのかなって。
あと純粋に、私の大好きな関係性に「自分が傷つくことなら耐えられるけれど、相手が自分のために傷つくことには耐えられない」があるので、絶対これが関係している。
一成、絶対こういうタイプだなと思って……。根本的に誰かを否定すること、傷つけることが怖い人だと思ってるし、それが大事な人相手だったらめちゃくちゃにその気持ちが大きいだろうし、一成にとってものすごく怖いことだと思います。だから、絶対にそんなことにならないよう、距離を取るし手を放すし去っていく選択をしてもおかしくないんじゃないかなぁと。
そんな一成だけど、それでも一緒にいたいんだって覚悟してほしかったし、その覚悟の一つ一つがホテルで天馬に語る言葉でした。
「ごめん、オレのために傷ついて」という言葉については
>大事な人が自分のせいで傷つくのが怖くて仕方ない一成が、それでも天馬だけは諦められなかった証明だ。
って本文でもあるんですが、本当にこれなんですよね。誰かを傷つけたくない一成が、自分のせいで傷つくとしてもオレと一緒にいてほしい、なんて言うのは、もうこんなの絶対特別の証だと思うんですよ。だから、言葉としては懺悔の形なんだけど、この上もないほど激しい熱烈な愛の告白だし、天馬も当然それを理解している。
一緒にいるから、自分がいるからついてしまう傷を知っている。だけど、それでも一緒にいようとすること。それはもう、一成にとってのこの上もないI love youだろうと思います。
■夕暮れの海辺にて――傷つくこと、あるいは皇天馬のI love youについて。
天馬にちゃんとプロポーズやり直してもらわないとな……(失敗してるから)というわけで、色々考えた結果最終的にこうなった。いやもう、何かここまで来たら王道を行くべきかなって。天馬こういうシチュエーション好きそうだし、一成もテンション上げてくれそうだし。
なお、このシーンのためにリゾート地とか高いホテルとか調べまくったし、プロポーズのシチュエーションとかもリサーチし、ついでにこの前段階でオーダーメイドリングについて情報収集したので、完全に私のネット履歴がプロポーズ計画してる人になりました。おかげで、広告が指輪と結婚関係ばっかりで楽しかったです。
第2幕の「完璧じゃなくても最高は作れる」が大好きで、これがもう、本当夏組らしさを目いっぱいに詰め込んだ言葉だと思ってます。最高まで全員で駆け上がっていくぞ!が夏組だと思っているので……。
MANKAIカンパニーに入団するまでの天馬は「完璧」を自分に課してて、それが当然だった。そんな天馬だったら、傷=失敗だったろうなと思うんですけど、MANKAIカンパニーで時間を過ごした天馬ならきっと違う意味を見い出すだろうなと思ってます。だから、
>きっとオレたちは傷を負わないために歩くんじゃなくて、傷と一緒に歩いていくんだ
って言葉が出てくるんですが正直自分で書きながら「天馬めちゃくちゃカッコイイな!?!?」って思ってました。いや本当、だって普通は痛い思いしたくないから傷つかないよう歩いちゃうじゃないですか。でもたぶん、この天馬は傷つくことを前提として歩けるんですよね……。
そんな天馬だからこそ、傷と共に生きることをとっくに覚悟している。傷をなくすのではなく、傷つかないように歩くのではなく。抱えた傷ごと生きるのだと思っている。
そういう皇天馬のI love youは「お前のつけた傷がほしい」でした。
これは一成との対比という意味もあります。「傷ついて」の答えとして「傷がほしい」。
いやまあ、天馬は「愛してる」めちゃくちゃ決めてくれそうではあるけど……。でも日常の延長での言葉であってほしいので、「愛してる」ではない言葉で愛を伝えてほしかったんですよ。
そういうわけで、天馬なりのI love youを色々考えたんですが、天馬にとっての特別って、恐らく強さの反対側にあるのかなと思ってました。天馬は健やかな精神の持ち主なので最終的には色々強い人ではありますが、もちろん常に強いわけではない。傷つくし弱みを見せることもある。ただ、そういう場面をさらけ出せるのは、夏組や監督、MANKAIカンパニーのみんなだから、特別なたった一人とは少し違うんですよね。
それじゃあ、「たった一人」の相手ってどういう存在なんだろなって考えた時に思ったのは、自分の傷はお前だって言える相手なのかなぁってことでした。これは、弱みをさらけ出せる相手というのとは少し違って、あえて自分から選び取る弱みというか。結果として弱みを見せるとか傷を抱えるのではなく、自分から「これがオレの傷だ、これがオレの弱みだ」と自覚して言う相手が天馬の特別なんじゃいかなと思います。
天馬はやっぱり、強い自分であろうとしてると思うんですよ。それは完璧という意味じゃなくて、転んでも立ち上がれることとか、仲間を大切にすることとか、一緒に行くぞ!って先頭に立って走り出すとかそういう意味での強さだし、そうあろうとすることはきっと天馬の矜持だと思います。だけど、そうやって強くあろうとする天馬が、自分から自分の傷になる相手を選ぶって、めちゃくちゃ愛なんじゃないかなぁと思うんですよね。これは天馬が、これからの人生で傷を避けることはできないと知っているから、それなら身に受ける傷は大事な人からのものがいい、というある意味で大変強欲な台詞でもあるんですけど。同時に、大事な人から受ける傷ならきっと新しい意味を与えられるって信じているからでもあります。
そんな風に思える相手が特別じゃないわけがない。だから、オレの弱さは、傷はお前がいいって、他の誰かじゃなくてお前がいいって言うのが、きっと天馬にとってのI love youかなと思ってる。