Fantastic Fantast talk!




「――本当、唯一の救いは全公演配信してくれたことだよ……」

 二日目のマチネを終えた私は、遠方に住む友人と通話をしながら千秋楽を待機している。
 学生時代からの友人は、私が天馬くんファンになってから着々と布教した結果、天馬くんの魅力に気づいて立派なファンになった。
 おかげで、天馬くんについて語ることもできるし、天馬くん情報については私よりも速いことがある。例の「天馬くんの結婚報道&突撃取材」を教えてくれたのもこの友人だ。

『おかげで全公演見られるからね~。まあ、チケットご用意していただければそれが一番だったけど……』
「だよね。マジでチケット取れた人、どんだけ徳積んだのかな!?」
『前世からの徳でも積んでるのでは?』
「生まれ変わらないと無理レベル……?」
『無理レベルだと思うな~』

 馬鹿話をしながらこうして千秋楽を待っている時間はわりと楽しい。どうせ配信中は、一応通話状態にしてるものの、お互い笑い声とうめき声くらいしか聞こえないけど。
 終わった瞬間から感想を言いあえるのはありがたいし、文明の利器ってすごい。

「まあ、でも、天馬くんと同じ時代に同じ国に生まれてる時点で、徳は積んでるから私たち……」
『それは確かに』

 馬鹿なことを言ってると思うけど本音である。それを全力で肯定してくれるので、やっぱり同じく天馬くんファンの友達と話すのは楽しかった。

『今日のマチネも良かったよね~! というか、初日から全力って感じだったけど、公演ごとに熱量上がってるのすごくてびっくりする!』

 興奮気味に語られる言葉に、私も「だよね!わかる!」とうなずいた。
 今回、四公演のみだったので当然のように全公演配信を購入している。
 一日目のマチネ――つまり本公演の初日はどんな感じなのか、期待と若干の不安で幕が開くのを待っていた私たちの目に飛び込んできたのは、これでもかという熱量をぶつけて縦横無尽に舞台を駆け回る夏組だった。

「天馬くんの役さ~、チャーミングな遊び人って感じで、そりゃ男女どっちでも好きになっちゃうわ~って説得力がすごいんだよな~!」
『わかる……全人類好きになっちゃう……。というか、プレイボーイの天馬くんって時点で結構威力すごいのに、最初のファンサとか現地でもらったら死なない?』
「ご臨終ですね」

 天馬くんの役は、家柄も顔も完璧、男女どちらともすぐに関係を持つプレイボーイだ。しかし、そこは夏組のテイストとして誰からも愛されてしまうようなチャーミングさを持っているし、天馬くんはそれを全力で演じている。
 加えて、天馬くんは冒頭でそのプレイボーイっぷりを見せつけるシーンとして、客席に向かって愛を囁いたり甘い言葉を吐いたりウィンクを飛ばしたりなどのファンサをしてくれるわけである。
 画面で見てても衝撃がすごかったので、あれを現地で見てたら死んでたかもしれない。死んでいいから劇場にいたかった。

『しかも、毎公演全部違う口説き文句だったじゃん……?』
「今回アドリブとか日替わりすごい多いよね……」

 さすがは夏組ということなのか、四公演しかないからなのか、随所に日替わりネタが盛り込まれているので、毎回新鮮な気持ちで楽しめる。あと純粋に色んな天馬くん見られて嬉しい。

「タイムマシンのあるお店のシーンとか、たぶん全部日替わり……っていうかアドリブっぽいし」
『あれ結構長いよね!? 毎回フリーダムにやってても最終地点によくちゃんと到達するなって感心してるもん』

 夏組のアドリブはある意味名物ではあるけれど、ほぼワンシーン全てアドリブのみ、みたいなものすらやってのける辺りが恐ろしい。というか純粋にすごい。

『改めて見ると、夏組みんな芸達者すぎてびっくりした。私あんまり天馬くん以外そこまで追ってないんだけど、何か、プロにこういうこと言ってもあれだけど、みんな芝居上手いな!?って』
「いやわかる。プロだからそうなんだけど、本当みんなの普段知ってるだけに、別人じゃん!?ってびびる……」

 天馬くんを追っているがゆえ、夏組のことは把握している。ただ、正直プライベート情報のほうがわりとよく知っている、という感じで出演作をそこまで追いかけているわけではないので、改めて芝居をする彼らを見て驚いてしまったのだ。

「カズナリミヨシとか、コミュ力高い陽キャだと思ってたけどあんな繊細な顔するんだなって……」

 今回、天馬くんの恋人役を演じたのはカズナリミヨシだった。準主演として天馬くんの次によく出てくるので顔を見る機会が多かったのだけれど、普段のイメージとは全然違っていた。
 カズナリミヨシはSNS更新の鬼で、いつでも明るくチャラいイメージが強いし、時々真面目な顔をしているのも見るけど、大体は大きな口で陽気に笑っている。
 だからその印象が抜けなかったのだけれど、今回彼が演じる役は苦労人で真面目、意志が強いけれどあまり自己主張はしないタイプの、どちらかといえば影のある青年だった。

『普段と全然違うじゃん!?ってなったよね。めっちゃ美~って感じでプレイボーイの天馬くんが反応したのもわかるなって……』
「顔面の説得力すごかったよね」

 静かな表情で黙っているだけでも、こんなに顔整ってたのか、とは思った。さらに、時々寂し気に笑う様子はなるほど美人ってこういうことか、と納得してしまったくらいだ。普段自分がどれだけ言動のイメージに引きずられているのか実感した。
 正直天馬くんが一番カッコイイとは思ってるけど、今回改めて公演を見て感じたのは、夏組全員めちゃくちゃ顔がいいな?ということだった。
 カズナリミヨシはもちろん、他のメンバーだってそうだ。椋くんと幸くんはかわいいな~と思ってたし、三角くんは不思議系のイケメン、九門くんは爽やかな青年ってイメージで、間違ってはいないと思う。
 ただ、今回の公演ではそれぞれが普段とは違った顔を見せてくれた。それがまた魅力的だったし、改めて全員の顔の整いっぷりを実感した。

『椋くんとか、普段あれだけふわふわ穏やかなのに、あんな攻撃的な顔できるんだって感動したし、男らしくて格好良かったよね』
「お兄ちゃんを守る決意がよかった~。幸くんも、面倒見のいいお姉ちゃんって感じだったし、かわいいっていうかビューティーだった……。何だあの美しさ」
『三角くんは激変しすぎてて感動するんだけど、今回年上の貫禄バッチリあってすごいよね。イケメンっていうか、もはやダンディなおじさまだった。動きがいちいちスマートで紳士じゃん……』
「わかる。あれ確実に完璧なエスコートできるし、なるほどここからあの息子が生まれるか~!って説得力ありすぎた」
『天馬くんと年齢差そんなにないのに父親役違和感ないのすごすぎ』
「さすが三角くん……」
『ね。九門くんはギャップありすぎというか、普段あれだけ快活で明るいのに、とんだマッドサイエンティスト役ですけど!?ってびっくりしたけど、うん……』
「絶対好きでしょ?」
『大好き……。爽やかなスポーツ青年に見えるからこそ、余計にマッドサイエンティストとの落差があっていい。時々見せる真顔、クールなインテリ系だった……』

 そんな感じで、きゃっきゃっと夏組について一通り語り倒す。幸いネット環境は整っているので、夏組それぞれの出演作について調べながら、今度鑑賞会をしようと約束する。なるほど、こうして夏組箱推しになるんだなと思いつつ。

「でもやっぱり、最終的に愛を貫く天馬くんカッコイイな~……話知ってるのに毎回感動してしまう……」

 天馬くん以外の夏組の鑑賞会用リストを作り終えた私は、さっきまでの公演を思い出して、しみじみと言う。最終的に天馬くんの話に戻ってくるのは、まあ、お互い天馬くんファンだから仕方ないだろう。
 物語は、プレイボーイの天馬くんがちょっとした出来心で、苦労人の青年――カズナリミヨシと恋仲になるところから始まる。物珍しさで関係を続けている内に、次第に天馬くんは恋人の人柄に惹かれていって本気で彼を愛するようになる。
 しかし、周囲からの妨害と今までの節操のない関係性がたたって、別れを告げられる。
 このまま二人は破局してしまうのか――というところで現れるのが、未来からやってきたタイムパトロールと名乗る人物だ。曰く、二人の破局は未来の崩壊につながるとして、紆余曲折のドタバタコメディが始まるわけである。
 最終的には、天馬くんの頑張りと諦めずに誠意を尽くした結果、二人の破局を防ぐことができてハッピーエンドで終わる物語だ。
 基本的にコメディタッチだし、そこはさすが夏組で笑えるシーンが多い。家なので結構普通に笑っている。
 ただ、終盤の天馬くんのシーンは少し雰囲気が違う。コメディ要素は一切なく、二人が本当に別れを選ぼうとしているのがよくわかるシリアスな場面だ。
 ハッピーエンドなのは知っているというのに、毎回ハラハラしながら見守ってしまう。だからこそ、言葉が届かないと悟った天馬くんが、行動で愛を誓うシーン――キスシーンは毎回「よかった!!」と全身全霊で拍手を送ってしまう。
 あと、すごい純粋に、全力のキスシーンはめちゃくちゃ天馬くんの魅力が満載なので心臓がドキドキするというのもある。いやほんと、あのシーン何かすごい愛情だだ漏れって感じで心臓に悪いというか逆に寿命延びそうというか。

「まあ、最初に見た時は衝撃がすごすぎて頭爆発するかと思ったけど……」
『あははは、ストリートACTはほんっとびっくりしたよね!』

 友人が面白そうに言う通り。「天馬くんの結婚報道&突撃取材」で、ハラハラしながら配信を見守っていたら突然ストリートACTが始まって、全力でハテナマークを浮かべつつ「天馬くんのストリートACT見られるのめっちゃラッキー!しかもこれリアルタイム!」と興奮していた。
 そのクライマックスこそ、天馬くんによるキスシーンだった。

「いやたくさん見てるよ、キスシーンは。恋愛ドラマいっぱい出てるもん天馬くん。あらゆるヒロインと何パターンもキスシーン撮ってるし」

 なので、本来ならそんなに騒ぐ場面ではないのかもしれない。
 だけれど、リアルタイの配信で、どんな演出も一切していない生の映像で、効果的な音楽なんて一切ないストリートACTで、誤魔化しのないキスシーンはとんでもなく現実的で生々しくてリアルだった。

「やっぱりどうしてもフィクションって意識するじゃん、ドラマとか映画は。編集されたり加工されたり、いい感じの音楽とかついてるし。でも、あのストリートACTはさぁ、現実感がやばかったんだよね。今、ここで生きてる天馬くんがキスしてるっていうのが、ものすごいリアルで」

 どんな加工もされていない映像だからこそ、なんだと思う。
 私たちが普段見ているのは、手を加えられた映像ばかりだし、舞台の映像だってそれはやっぱり演出がされている。
 だけれど、あの時のストリートACTは一切演出がなかった。ただの夏組として、肉体一つで演技していた彼らの芝居は、どうしようもなくリアルだったのだ。

「その上で、どれだけ相手を大切に思っているのか好きで好きでたまらないのか、を表現できる天馬くんすごいしめちゃくちゃカッコイイんだよな~!」
『そう、それ! あの天馬くんの演技力すごかったよね? 全然音楽とかないのに、蒼生くんのこと大好きなの伝わってきてきゅんきゅんしたもん……!』

 興奮気味に語る友人の言葉に、私も全力で同意を返す。
 カズナリミヨシ演じる蒼生へのキスは、これでもかというほどの愛情であふれていた。
 どんな演出もないのに、その体一つだけで愛を表現できる天馬くんのすごさを実感するとともに誇らしい気持ちになったし、同時に蒼生への愛を全力で伝える天馬くんがただひたすらかっこよすぎて、配信を見ている時によく気絶しなかったなと思う。

『公演も絶対そこはわかってるよね~。キスシーンは演出一切ないし、音楽もかからないし』

 本公演でもストリートACTの要素がほぼそのまま再現されている。それは、演出もなければ音楽もかからないという点から察することができた。
 例のキスシーンは、役者としての皇天馬と三好一成、二人芝居のような雰囲気さえあるのだ。それは、あの瞬間だけはお互いしか見えないような二人にはこの上もなくぴったりだと思う。

『二人も絶対、キスシーンは気合い入ってるよね』
「それは確実に。何か段々キスシーン長くなってるし」

 ストリートACTの時点でも、わりとキスシーンは長かった。
 公演の初日はたぶん、ストリートACTと同じくらいだったと思うけどその日のソワレから「あれ」と思って、今日のマチネで確信した。
 キスシーンが長くなってる。ものすごく延びた、というわけではないけれど。

「たぶん、今日とか30秒くらいキスしてない?」
『してたよ~。測ったら28秒だった』
「測ってんの!?」
『だってこれ千秋楽は何秒になるかなと思って』

 面白そうに友人が言うけれど、確かにキスシーンが長くなっているとしたら、今日の千秋楽は一体どうなるんだろう……と思う。
 元々、夏組の千秋楽はアドリブ満載ということで有名だ。脚本から大きく外れることはないけど、小さな脱線なら数えきれないので、キスシーンの長さくらい普通に変えてきそう。

『最後のシーンも、段々いちゃつき度合いが増してるからさ。千秋楽はどうなるかな~っていう期待が』

 最後のシーンとは、全てが上手く収まったことを知り、改めて天馬くんが指輪を渡す場面だ。ストリートACTでは二人が抱き合って終わりになる部分であり、公演でもそういう結末を迎える。
 幕が下りるまで抱きあう二人は、初日マチネでは軽いハグ程度だったはずだけれど。

「今日とか、このままキスすんのか?って思ったもんね」
『思った~! すごい顔近づけて笑ってるから、まさか!?ってなったよね』

 今日のマチネでは、二人とも抱き合ったまま額を合わせるような距離で笑っていたので、配信を見ている人たちがコメントでざわついていた次第である。まあ、それはおおむね期待によるものではあるのだけれど。
 最初のストリートACTの時点でキスシーンが結構な話題になったこともあって、今回の配信視聴組には、キスシーンを期待して待っている人たちがわりといるらしい。
 その気持ちはわからなくはないというか、正直とてもよくわかる。

「あの二人ならいくらでもキスしてくれ……って感情になってるの、自分でもよくわからないんだけど、でも思っちゃうんだよな~」

 ファンの中でも、天馬くんに対するスタンスというのは人によって千差万別だ。
 役者としての側面だけを応援している人もいれば、素のままの天馬くんのファンもいる。
 親戚の子を見守るような気持ちや、恋愛感情を向けている人もいて、それぞれの感情でキスシーンを見守っているはずだ。
 私は自分がどこに分類されるのかはよくわからないけど、たぶん恋愛感情的なものを持ってはいないと思う。今まで見てきたキスシーンでも相手の女優さんに嫉妬することもなかったし、むしろ「キスする天馬くんカッコイイな~」と思っていた。
 ただ、こんな風に作中の役とは言え「二人を応援したい」と思うこともなかった。

「現実感がありすぎるっていうか、何か天馬くんの人生を応援するみたいな気持ちの延長線上なんだよね。役と天馬くんは違うってわかってるんだけど」

 恐らく最初に見たのがあのストリートACTだからだろうな、と思う。あまりにも生々しくてリアルだったから、天馬くんそのものを重ねて見てしまう。
 だから、天馬くんの演じる彼が幸せであってほしいと願っているんだと思う。

『あとまあ、夏組が相手だからっていうのもある気はするな~』

 のんびりとした口調で友人が言った。彼女は天馬くんに対しては「親戚の子を見守るスタンス」だと宣言していて、「健やかでいてくれればそれでいい」と言っていた。
 そんな彼女は、あくまで相手が夏組の一人だから、素直に応援できるんだと思うと続ける。

『天馬くんが夏組大好きってことも、夏組が天馬くん大好きってことも知ってるからね。絶対に天馬くんを大事にしてくれる人だ~ってわかってるから、ガチなキスでも応援できるんだよ』

 身勝手な話だとわかっている、と彼女は言う。
 芸能人だからって、プライベートにまでファンが口を挟んではいけない。天馬くんの人生は天馬くんのものだから、どんな人を選んだって祝福するのがきっとファンの鑑だと思う。だけれど。

『芸能人相手に何を知ってるんだって言われたらそれまでなんだけど。でもやっぱり、どこの馬の骨とも知らない相手より、よく知っている相手のほうが安心できる気がする』

 別にプライベートを詳しく知っているわけではない。夏組のことはたくさん知っているとは言っても、それは彼らが見せてもいいと思う範囲だけだ。
 ただのファンだからそれで充分だし、だからこそ彼らの何を知っていると言われれば答えられることなんてきっと少ない。
 それでもやっぱり、思ってしまうのだ。傲慢だけど、思ってしまうのだ。

「あー……それはあるよね……。天馬くんには、天馬くんのこと大好きな人を選んでほしいし、それが確定で一番よくわかるの、夏組だからね……」

 私たちの知らない場所で、天馬くんにはそういう相手がいるのかもしれない。だけれど、少なくとも今の私たちが確実に「天馬くんを大好きな人」として挙げられるのは夏組なのだ。

「……ぽっと出のよくわからん女優とリアルなキスするくらいなら夏組のカズナリミヨシとキスしてくれたほうが全然納得できる、みたいな感情かこれ」
『改めて言葉にするとあれだけど、大体正解じゃない?』

 苦笑めいた言葉で肯定された。まあ、自分で言ってても「ああ、そういうことか」と納得してしまったんだから仕方ない。
 いや相当どういうことかとは思うけど、これが素直な感情なのだ。
 天馬くんの相手を私が勝手に選ぶ権利なんてないことはわかっている。でも、天馬くんの相手なら夏組が一番ふさわしいよな、ときっと私は思っている。
 ものすごく傲慢な話ではある。
 聞いたこともない相手じゃなくて、私たちがよく知っている夏組相手なら天馬くんを任せられる、みたいなことを思っているんだから。やっぱり私も、親戚の子を見守るみたいなスタンスなのかもしれない。

「まあ、別に全部役の話なんだけどさ」
『そうなんだけどね。でも、やっぱり役でも天馬くんの相手役やるなら、よく知った相手のほうがいいし。今回はちょっと、普通よりリアルだから余計にそう思っちゃうんだよね』

 そう言う友人は真剣だったし、うっかり気持ちはわかってしまうので、我ながら面倒くさいファンだなぁと思う。でも、本人に伝わるわけじゃないからまあいいか、と思う。

「あー、何かこれから千秋楽始まると思うとドキドキしてきた」
『絶対全力の夏組だしね』
「めちゃくちゃ千秋楽見たくなったけど、見ると終わるから嫌になってきた」
『わかるけど。千秋楽見ないまま死ねないでしょ』
「そうだけどー。むしろ千秋楽見た瞬間に死んだほうが絶対成仏できる」

 そんな風にくだらない話をしている間に、時間は刻々と過ぎる。気がつけば、千秋楽が始まるまでもうすぐという時刻になっていた。何でもない話をしていると、あっという間だ。
 配信画面では幕の下りた会場の様子が映し出されていて、ざわざわとした空気が伝わってくる。すっかり見慣れた景色を目に映しながら、私たちは幕が開く瞬間を待っている。






END



モブにはこう見えてるけど実はてんかずっていうのが大好きで……。
それと、純粋にあの公演周辺をファンはどう思っているのかをまとめておきたかったというのもあります。いや完全に趣味だけど。なお、二人とも腐女子ではないけど友人のほうは素質がある。
ちなみに「fantast」は未来を予言する人、なので最終的に未来を言い当ててるファンたちの話、みたいなニュアンスです。ファンの話だから「fan」から始まる英単語探してたらいいのがあった。