Street Note Secret
受け止めた天馬は、少しだけ考えて口を開く。一成が本音で問いかけたのなら、自身も本音で答えようと思った。真摯な気持ちで、天馬は一成に言う。
「正直、あまり気にしたことはない。SNSをほぼ見ないっていうのもあるが、そもそもオレは自分に関係ないところであれこれ言われるのがいつものことだしな」
天馬はあまり、素直に物事を告げるのが得意な性質ではない。意地を張ったり、気恥ずかしさが先に立ってしまったりすることが多いのだ。
だけれど、今は一つとして取り繕うことのない、本音を返そうと思った。一成が聞きたいのはそういうことだろうし、それが誠実であることだと思ったからだ。
天馬は一成へじっと視線をそそいで、言葉を重ねる。
「物心ついた時には、芸能人の子どもで子役だったからな。根拠のない噂話なんて、たぶん生まれた時からされてるだろ。人に注目されるっていうのはそういうものだし、芸能界で活動してる限り当たり前のことだと思ってる」
淡々と告げるけれど、天馬とて自分の環境が特殊である自覚はある。だから、誰にも彼にも当てはまることではないし、必ずしも共感されるとは限らないだろう。
それでも、一成は自身の答えをきちんと受け取ってくれるとわかっていた。ただの事実としてそう思っているからこそ、天馬は普段思っていることを口にする。
「オレにとっては、勝手な憶測で話が広まるなんて単なる日常だからな。あんまりひどい時は事務所も動くが、そうでなければ放っておく。慣れてるというか、そういうものだとずっと思ってる。だから、怖いも何もないな」
落ち着いた声で告げた言葉は、虚勢でも何でもなかった。強がっているわけではなく、天馬にとっては日常の一つでしかないから、怖いなんて思うようなことではないのだ。
物心ついた時から、天馬はずっと芸能人だった。両親が有名な役者ということもあり、幼い頃から一挙一動が注目されていた。メディアの向こうの人たちは、そんな天馬に好き勝手に感想を抱いて、コメントを残す。
突然その事態に放り込まれたなら戸惑いもあったかもしれないけれど、天馬にとってはそれが当たり前だった。自分を取り巻く世界は、それが通常なのだ。
だから、一成の問いに天馬はノーと答える。世界の有り様を理解した時から、周囲の人間に勝手なことを言われるのは日常だった。天馬にとって当たり前の生活を、怖いなんて思うわけがなかったのだ。
天馬の言葉に、一成は数度目を瞬かせる。それから、ぽつりと言葉をこぼした。
「すげーね、テンテン」
心の底から湧き上がるような、そういう響きをしていた。強がっているのではなく、これが天馬の素直な答えだと理解したからだ。
根拠のない噂話をされることも、勝手な想像が広まることも、天馬にとっては単なる日常でしかない。天馬はずっとそういう世界で生きてきたし、これから先だって生きていく。
淡々とした調子で告げられた言葉だからこそ、一成は実感する。たいそうな決意も大げさな言葉も必要ないくらい、天馬にとってはこれが変哲のない毎日で、生活の一部なのだ。
当たり前なのだと、さらりと言ってしまえるのは間違いなく天馬の強さだ。だからこその感嘆だったのだけれど、一成は手放しの賞賛を浮かべていなかった。うっすら陰った表情で天馬へ視線を向けると、おずおず問いを口にした。
「でも、それって辛くない? テンテンにとっては日常っていうのもわかるんだけど。自分のことちゃんと見てもらえないって、本当の自分じゃないところが注目されたりとかって、きつくない?」
強がりでも何でもなく「怖くない」と言うのなら、きっと本当に天馬は気にしていないのだろうと思った。しかし、だからといって何もかもを感じなくなったわけではないことも、一成は理解している。
天馬は豊かな感受性を持っているし、感情表現も素直だ。乗り越える強さを持っているだけで、天馬の心は辛さや苦しみを確かに感じる。
だからこそ、一成は憂えている。
根も葉もない噂話やいい加減な当て推量で、自分ではない自分の話が語られ、あたかも事実のように広まっていくなんて。たとえ日常の一つで、当たり前だと思っていたって。自分の存在を蔑ろにされるようなそれは、天馬の心を傷つけるのではないかと思ったからだ。
一成の心配を、天馬とて理解している。いつでも明るくて、テンションが高い。何も考えていないように見えるけれど、本当はとてもやさしくて、他人の心の機微に聡い人間だなんてこと、もうとっくに知っている。
だから素直に天馬は答える。嘘やごまかしは必要なかった。
「そうだな。辛いとはあまり思わなかったが――まあ、気分はよくなかった」
それこそSNSでは、勝手な天馬像を作り上げた相手から、心ない言葉を直接投げつけられたこともある。その件数はさして多くはないし、好意的な言葉の方が割合としては圧倒的だ。だからそこまで気にはしていなかったけれど、棘が刺さったような感覚を覚えたことも確かだ。
怖くはなかった。ただ、勝手な想像で語られる皇天馬に対して、本来の自分がなかったことにされるような、擦りつぶされていくような感覚は確かにあった。
天馬の言葉に、一成は眉を寄せて悲しげな表情を浮かべる。他人の痛みを自分のことのように感じる一成らしいよな、と思いながら天馬は口を開く。唇に笑みを刻んで、そんなことを思う必要はないと伝えるつもりで。
「でも、今はそうでもない。吹っ切れたというのもあるが、オレを知ってる人間ならここにはたくさんいるからな」
力強く、不敵な笑みで天馬は言う。実態とはかけ離れた、本当の自分ではない「皇天馬」をさも事実のように語って、悪意を向けられた経験はある。気分はよくなかったし、胸に痛みを覚えたのも事実だ。ただ、それも今ではずいぶん遠く感じられるようになった。
理由は簡単で、夏組や監督、MANKAIカンパニーのメンバーは、ちゃんと天馬の姿を知っているからだ。勝手な推測で語られることはないし、一部分を切り取られることもない。天馬の全部を、丸ごときちんと見てくれる人がいるのだと知っている。
だからこそ、天馬はきっぱり告げる。堂々とした態度で、確かな事実を胸に抱いて。
「お前も夏組も監督も、カンパニーのみんなも、オレのことならよく知ってるだろ。それならいい」
根も葉もない噂話や、いい加減な推測がなくなったわけではない。芸能人として生きる天馬にとっては全てが日常だと告げた通り、これから先も同じように天馬のことは勝手に語られるだろう。当たり前のことでしかないから、辛いわけではないし怖くもなかった。
ただ、決して何も感じていないわけではない。痛みや苦しみは小さいながらも存在していたし、自分自身にバツ印がつけられるような、本来の自分が蔑ろにされていく感覚は確かにあった。
しかし、それも今ではずいぶん遠い。もちろんゼロになったわけではないけれど、かすかなものになっている。理由なんて、たった一つだ。
「オレは、オレの味方を知ってる」
だから大丈夫なのだと、天馬は思う。この場所で出会った人たちが、自分の力になる。痛みを遠ざけて、バツ印だって跳ねのけて、本来の自分自身がはっきりとした形になる。
憶測を語ることもなければ、事実無根の噂話に惑わされることもない。確かにここにいる天馬を、確かに見ていてくれる人たちがここにはいるのだと、天馬は知っている。
「――なあ、一成。お前だってそうだろ?」
笑みを浮かべて、天馬は一成に問いかける。思い出すのは、一成を連れ出した旅先の出来事。見晴らしのいい高台での光景だ。あの時、一成に告げた言葉。それをもう一度繰り返す気持ちで天馬は言う。
世界中の全てが味方にならないことは、充分知っている。これから先も、メディアの向こうの人たちは、天馬のことを知らないまま勝手な話をするだろう。時には悪意を持って、天馬について語ることもあるだろう。
それでも、怯む必要はない。胸を張って、これからの道を進んでいけると知っている。理由は一つ。一成だって知っている。
「自分の味方さえ間違えなければ大丈夫だ」
力強く、天馬は言った。本当の自分ではない姿が、当たり前のように語られても。勝手な噂話が広まって、自身の姿がゆがめられていくとしても。周りの人間が、敵だらけに思えてしまっても。
たった一つ、これだけは間違えない。夏組や監督、カンパニーのメンバーだけは絶対に味方でいてくれると知っている。
だから一成だって平気だと、天馬は確信し切って告げた。大事なことさえ忘れなければ、お前だって大丈夫だと、心から伝えたのだ。
一成はその言葉に、大きく目を見開いて天馬をじっと見つめる。沈黙が流れるものの、それもほんの数秒だ。一成はじわじわ笑みを広げると、「さすがテンテン!」と弾けるような声で言う。それから、明るい表情で言葉を続けた。
「そだね。テンテンと夏組とカントクちゃんと、それから、カンパニーが味方なら、めっちゃ心強いかも!」
ぱっと明かりを灯すような、華やぐ笑み。天馬の言葉を受け取って、心からうなずいてくれたのだとわかる。夏組をはじめとした、カンパニーのメンバーが味方であることなんて、一成にとっては疑う余地のない事実だ。だから、天馬の言葉に納得してくれたのだろうと思った。
しかし、明るい笑顔は長く続かなかった。開いた花がしぼんでいくように、一成の顔が次第に陰っていく。唇の端にはうっすら笑みを浮かべつつも、眉を下げてつぶやく。
「でも、テンテンの境地に辿り着くまでは時間かかりそうだよね~」
落ちた言葉は、少しばかりの申し訳なさを漂わせている。
天馬たちが味方でいてくれることは、微塵も疑ってはいない。しかし、天馬のように強くいられる自信がない、と一成はこぼす。味方を知っていても、きっとまだ落ち込んだり凹んだりしちゃうんだろうなぁ、と言う一成は己の不甲斐なさを嘆いているようだった。
一成は他人の心の機微に敏感で、相手に合わせる柔軟性がある。それは、周囲を気遣う性質から来ているものだし、言い換えれば周りの反応に左右されやすい。
天馬は、相手のことを気にせず突き進むタイプだけれど、一成はそうではない。だからこそ、味方を知っているからと言っても、すぐに何もかもを吹っ切ることはできないのだ。恐らく、一足飛びに強さを手に入れるのではなく、行きつ戻りつしながら少しずつ心は強くしなやかになっていく。
だからすぐに、天馬のように大丈夫だと言うことはできない。その事実を一成は不甲斐ないと思っているらしい、と察した天馬は心から言った。首をかしげて、心底不思議そうに。
「一成は一成だから、それでいいだろ」
何言ってるんだこいつは、と思いながらそう言った。オレの境地に辿り着くまで時間がかかるなんて。まるで、オレと同じになることをゴールにするなんて。そんなことをする必要なんて、どこにもないのに。
胸に浮かんだ言葉を、天馬はそのまま取り出して告げる。
「オレと同じにならなくていい。むしろなるな。同じだったら、芝居だって面白くないだろ。違う人間だから、一緒に芝居するのが楽しいんだ」
仲間と共に舞台へ立つ。その醍醐味は、思いがけない化学反応が起きることだ。自分の頭で考えていただけでは生まれることのない反応が、舞台の上でいくつも生まれる。
それは、自分一人だけでは決して成し得ない。自分とは違う人間が同じ舞台に立っているから、想像以上の最高が生まれるのだと、天馬はカンパニーで何度も知っていった。
だからこそ一成に言うのだ。心の底から。
「オレとお前は、違う人間だってことに意味がある。だから、オレと同じになる必要はない。一成は一成のままでいろ」
揺るぎなく言えば、一成は真っ直ぐ天馬を見つめた。言葉一つだって聞き漏らすまいとする真剣さで、緑色の瞳に少しずつ力強さを取り戻しながら。
それを受け取る天馬は、唇に笑みを浮かべて言葉を続ける。一成と自分は違う人間だ。だからこそ生まれるものなら、いくつだって知っていると思いながら。
「オレとお前じゃ、見えてるものだって違うから芝居も違う。今回の舞台だってそうだ。お前の演技はオレじゃ出てこないものばっかりだし、あの青海七海はお前にしかできない。一成だからできる役だ」
紆余曲折を経た後、第九回公演の稽古が本格的に始まった。一成は主演として全力で稽古に臨んでいるし、天馬は準主演の立場から一成を支えつつ、持てるものの全てで一成に応えている。
その中で、天馬は一成の芝居を全身で感じ取る。
一成だからこそできる、細やかで行き届いた演技。一緒に舞台へ立つとわかる。天馬がほんの少し芝居を変えれば、自然な調子で的確に変化をくわえる。最初の頃の、自分のテンションをなぞるだけの芝居とは違って、どんな変化球だって受け取ってくれる。
上手くなったな、と何度も思った。夏組と舞台に立つたび、それぞれがどんどん力をつけていくことを感じているけれど、準主演として主演の演技を受けるのはやはり違うのだ。一成の心を、込められたものを受け取るたび、天馬の心は浮き立った。
一成の解釈が乗った演技が楽しい。論理的に役を見つめて、そこに一さじ自身の情熱をつけくわえるような解釈は、一成ならではだ。理論的に物事をとらえながら、揺れ動く感情を丁寧に拾い上げることが上手い。
さらに今回は、自身のルーツとも言える「絵」にまつわる物語だからこそ、根底には強い信念が宿っている。
何より、相手の心をやわらかく包み込むような芝居は、一成らしさが如実に表れていた。
どんな演技にも寄り添って、心の全てを広げて受け止めてくれる。もともと相手に合わせるのが得意で、柔軟性のある芝居のできる人間だ。今回の舞台ではそれがいっそう深まって、青海七海というキャラクターに対する説得力と、魅力に結びついていた。
一成が演じる青海七海を前にするたび、一成の見ているものを知っていく。一成の思う、一成だからこそ演じられる青海七海を知っていく。その事実に天馬の心は弾んだ。
この役は一成でなければ成り立たない。オレの中からは出てこない。そう思うからこそ、共に舞台を生きられることが嬉しかった。白戸色波として、一成演じる青海七海と同じ世界を生きられることが、嬉しくて胸が躍るのだ。
一成は他人の心の感情を敏感に察する。たった今、天馬が心から告げたことだって、きちんと受け取ってくれる。だから、天馬の言葉がどれだけ真剣なものなのかということも理解したのだろう。
「――ありがと、テンテン」
はにかむように、照れくさそうな笑みでつぶやく。ただ、その言葉にはささやかながらの自負が混じっていた。
天馬の言葉をきっかけにして、己の芝居を、自分の持つものをあらためて見つめて、きちんと抱え直したのだろう。気弱になる必要なんかないのだと、天馬と同じゴールを目指さなくたっていいのだと理解したのだ。
変なところで自信をなくすのが一成だとわかっているから、天馬はさらに言葉を重ねた。いつもみたいに明るく笑っていればいいんだお前は、と思いながら。
「芝居以外だってそうだろ。一成だからこそできることは、たくさんある。絵とかデザインとかもそうだし、それ以外のことだってそうだ」
今回一成は、SNSの件で様子がおかしくなっていたけれど、天馬であればたいして気にしないだろう。不快に思うし嫌な気持ちにはなっても、いつものことで日常の一つだとスルーできる。それは優劣の問題ではなく、一成と天馬が違う人間だということ以外に理由はない。
その違いに意味があるのだ、と思う天馬は心からの言葉を伝える。
「確かにオレは、お前みたいにSNSで落ち込んだりはしないが、そういうお前だからこそできることだってあるんじゃないか。オレにとっては些細なことでも、一成にとってはそうじゃない。なら、その経験は一成の武器にもなる」
もちろん、経験のないことだって演じられるから役者を名乗っている。それでも、実際に自分自身が体験したことや感じたことは、よりリアリティを持って演じることができるのも事実だ。だからそれなら、今回の経験だって糧にしてしまえばいい。
一成は、些細なことを見つけるのが上手い。楽しいことを探すのが得意だし、誰かのちょっとした変化にもよく気がつく。恐らく舞台に限らず、一成にしか見えないことや感じられないことはたくさんあるのだ。天馬だって気づきたいと思っているけれど、悔しいことに一成には及ばない部分も多々ある。
天馬と同じではないからできること。天馬と違っているから見えるもの。そんなものはいくらでもある。だから、一成は一成のまま、一成としてできることを活かしていけばいいのだと天馬は思っている。
そんな気持ちを込めて告げた言葉を、一成はじっと聞いていた。真剣な表情で、天馬を見つめて、一つだってこぼすまいとするように。同じように視線を返すと、一成はふっと唇をゆるめる。楽しげな笑みが浮かんだ。
人の感情を受け取るのが上手い人間だ。天馬が込めたものに、きちんと気づいたのだろう。いつものような冗談めいた、茶化すような素振りで、奥底に真剣な響きをたたえて言う。
「さっすがテンテン、かっこい~! めっちゃ勇気づけられちった!」
軽やかに、ぴかぴか明るい笑顔。無理をしたものではなく、天馬の心を受け取って、素直に笑っている。疑う必要もなくそう思えるくらい、夏組として共に過ごした時間は長かった。だから天馬はほっと息を吐き出して、安堵の表情を浮かべる。
すると、一成は少しだけ声のトーンを落として、落ち着いた響きで言った。しとやかさの奥底に確かな輝きを宿して、夜闇をやわやわと照らす光を掲げて。
「マジでありがとね、テンテン」
そっと浮かんだ笑みはやさしくて、何もかもを包み込むようにやわらかい。舞台の上で青海が見せる表情は、こういうところから来てるんだろうな、と天馬は思う。
一成が持つしなやかさがよく表れているし、もっとこの顔を出していった方がいい。だから今日の稽古で提案してみるか、と思って天馬は気づく。
「そろそろ稽古始まる時間じゃないか」
「マ⁉」
周囲を見渡して天馬が言えば、一成はすっとんきょうな声を上げる。
バルコニーへ来た時にはオレンジ一色だった空は、端から濃い藍色へと塗り替えられ始めていた。薄青いベールを何枚も重ねていくように、次第に夜へと向かっていくのだろう。夏組のメンバーが帰宅していてもおかしくない時間帯だ。
「全員いれば呼びに来るだろうから、まだそろってないんだろうが――先に稽古始めてるか」
「そだねん」
立ち上がりつつ天馬が声を掛ければ、一成もうなずいて席を立つ。
一応開始時刻は決まっているものの、そこまで厳密に管理されているわけではない。一足先に稽古を始めていれば、夏組もすんなり合流できるだろうし、監督が先に来ていたらアドバイスももらえる。二人とも考えることは同じだった。
「美大から帰ってきたとこのギャラリーのシーン、重点的にやりたいんだよねん」
思考はすでに稽古へと切り替わっている。気になるシーンを思い浮かべた一成が言えば、天馬も「ああ」とうなずく。
「あのシーンは青海が信念を語るって意味でも、白戸の心情って意味でも重要だよな」
「そそ。何かまだちょっとしっくり来ないってうか、別のアプローチあるかも~?って」
「そこはオレも、少し気になってたんだよな」
互いがどこに引っかかっているのかポイントを挙げていけば、すぐに話は白熱していく。別角度からのアプローチについて話をする二人はもう、最高の舞台しか見ていない。熱心に意見を交わしながら、バルコニーをあとにした。
END