スウィートホーム・シンフォニー 29話
夜風にあたろうと、一成は打ち上げ会場を抜け出した。
映画のクランクアップを祝うため、レストランを貸し切ってのパーティーが行われている。主演の一人ということで、多くの人たちから祝いの言葉と共にアルコールを勧められた。
一成とて酒の席は嫌いではないし、気持ちは嬉しい。結果として、ついつい想定以上に飲みすぎてしまったのだ。昔のようにすぐさま口調が変わるということはないけれど、このままだとそれも時間の問題だ、というわけで酔いを覚ましたかった。
ガーデンウエディングも行っているというレストランは、会場から自由に庭へ出ることができる。扉にもなっているガラス戸を開けた。夜になっても夏の熱気は残っているけれど、火照った頬に当たる風が気持ちよかった。
熱い体に、自然と一成は高原でのロケを思い出す。
それまでの疲れに加えて、体を冷やしたことが追い打ちになり熱を出した。高ぶる気持ちをそのまま乗せたような演技を、染井監督は評価してくれたけれど万全の体調で臨めなかったことも事実だ。
ただ、幸いだったのは翌日に熱はすっかり下がったことだろう。天馬が看病してくれたおかげか、たっぷり睡眠を取ったことが功を奏したのか。
発熱が嘘のようにすっきりと目覚めた一成は、翌日の撮影を順調に終えることができた。おかげで、高原でのロケは無事に終了して、スタッフもキャストも安堵して帰路についたのだ。
当時のことを思い出す一成は、喧騒を背に外へ出る。明かりに照らされた庭は、あざやかな緑に囲まれたベンチや椅子が並んでいる。会場から見える範囲だけでも広いと思ったけれど、庭にはまだ続きがあるという。
都心に突如現れた、邸宅のようなレストランだ。果たして庭もどれほどの広さなのか、と探検するような気持ちで足を進める。
途中で左に折れると、ガーデンウエディングに対応したチャペルがあった。薔薇のアーチの先には長椅子が並び、周囲には手入れの行き届いた木立が広がっている。
その様子をしげしげと眺めた一成は、さらに先へ進んだ。チャペルの隣には、芝生の広場があり石造りのベンチが設置されている。ここで写真撮ったりするのかな、と思った一成は立ち止まった。広場に人影を見つけたからだ。他に散歩してる人がいたんだな、と目を凝らした一成は思わず口を開く。
「――染井監督?」
会場で行われているのは、クランクアップを祝うパーティーである。メインの一人であるのは間違いないのに、なぜ会場ではなくここにいるのか、と思ったのだ。
「おや、三好さん」
一成の言葉に気づいて、染井監督が視線を向ける。にこにこ笑顔を浮かべて、「どの角度が一番だろうかと考えていました」と言って一成の方へ近づいてきた。
「こういったチャペルでの撮影は、したことがありませんからね。興味深いです」
撮影するならどんな風に画を撮るべきか、と様々な角度からチャペルを観察していたのだろう。いつでも映画のことを考えている人らしい、と一成は思う。
「三好さんも散歩ですか」
「ちょっとお酒を飲みすぎたなって。染井監督も散歩ですか」
「ええ。少し外の空気を吸いたくなりまして」
おだやかな言葉を一成は聞いている。取り立てて何かを口にすることなく、ただ沈黙を流す。間を埋めるような言葉を発する必要はないとわかっていた。染井監督は、ゆっくり周囲を見渡しつぶやく。
「都心にあるとは思えない場所ですね。ビルが見えなければ、旅行先にでも来たような気持ちになります」
「それはオレも思いました。こんなに広い庭があることもびっくりしたし」
庭を見渡して言うと、染井監督が鷹揚にうなずいた。それから「三好さんは戻られますか」と尋ねられるので、一成は首を振った。もう少し外の空気を感じていたかった。
染井監督はその言葉に、にっこり笑うと石のベンチを指し示す。
「もしも良ければ、少し話をしませんか」
嬉しそうな言葉に、一成は目を瞬かせる。そんなことを言われるとは思っていなかったからだ。ただ、首を振る理由は一つもなかった。多少の緊張はあるけれど、話ができるのは嬉しいのだ。
オレには見えないものが、きっとたくさん見えている。染井監督の見る世界はどんなものだろう。会話の切れ端から、わかることもあるかもしれない。
好奇心に満ちた表情で、一成は「よろこんで」と答えた。
ベンチに並んで腰掛けると、染井監督は「無事に全ての撮影を終えることができました。ありがとうございます」と頭を下げた。一成はぎょっとして首を振る。
「役者として当然なのでお礼を言われることじゃないというか、むしろ最後ちょっと迷惑掛けちゃってますし!」
高原ロケでのことを指して言えば、染井監督は頭を上げて「ああ」とうなずいた。
「あれは突発的自体に対処してもらった結果ですし、気づかなかったこちらの落ち度でもあります。それに、思った以上にいいシーンが撮れましたからね。怪我の功名といったところです」
満足そうにうなずいた染井監督は、当時のことを思い出す素振りで言った。
美術館での蒼生と遼一郎のシーン。物語のクライマックスでもあり、普段感情を表に出さない蒼生の心を強く感じる場面だ。
それまでの落ち着いた演技ではなく、かといって声を荒げるわけではない。静かに、それでいて揺れ動く心を表現する必要がある。
一成の演技力について心配はしていなかった。ただ、力を入れたいシーンだったから、何度かテイクを重ねる必要があるだろうと思っていたのだ。しかし、予想は覆される。
「期待以上の芝居でした。撮りたかったものはこれだ、と思いましたよ。監督として理想の画はいつでも頭にあるつもりでしたが、役者の方がそれを軽々と越えていく。時々そんなことがありますが、これだから映画作りは面白いのだとあらためて思わされました」
心底楽しそうに染井監督は言う。撮りたいものなら、いつだって頭の中にある。だからこそ、理想のシーンのために妥協しないことで有名なのだ。
しかし、時々それを覆されることがある。自分でも気づいていなかった。撮るべき瞬間は、撮りたいと望んでいたワンシーンはこれだろう、と役者の芝居に教えられることがある。
そんな瞬間が、染井監督には楽しくてたまらないのだ。見たかったものが目の前に差し出される。自分だけでは辿り着けなかった。多くの人が集って一つの作品を作り上げるからこそ、見られる景色がある。
それをしかと感じたのだと、染井監督は言う。真っ直ぐ一成を見つめて、美術館でのシーンを思い浮かべながら。
「撮影中は、もちろん誰も音を立てません。ただ、あの時は少し意味が違いました。三好さんの――蒼生の言葉があまりにも切実で、誰も身動きが取れなかった」
蒼生は遼一郎への思いを告げる。お互いの体を抱きしめながら口にされる愛の告白は、しかしどうしようもないほどの悲哀をたたえている。
許されなかった二人だ。祝福もされず、考え直すよう諭され、二人で生きていくことは間違いなのだと突きつけられる。だから、手に手を取って逃げ出した。
「あれは蒼生の言葉でした。映画の中の登場人物ではない。蒼生が、己の人生全てで紡いだ言葉でした」
オレたちを殺さないで、と蒼生は言った。声を荒げたわけでも、大声で泣き叫んだわけでもない。ささやくようにこぼれた声だった。それなのに、あまりにも圧倒的に響いた。
だってこれは心からの言葉なのだと、誰もが理解したのだ。
役者としての台詞ではない。蒼生という人間が発した言葉だ。何度も、何度も、傷つけられて心を殺されてきた。なかったことにされて、いなかったことにされて、存在を丸ごと否定され続けた。
殺され続けて何度も血を流して生きてきた、蒼生という人間が絞り出した声だった。
身を切られるような言葉に、周囲は水を打ったように静まり返っていた。あまりにも痛ましくて、震える心が美術館を包み、誰も身動きが取れなかった。
「あれは蒼生の慟哭であり、祈りであり、決意でした」
呑まれるような雰囲気の中、染井監督はモニターを見つめていた。蒼生が口にした言葉の意味。演技としての方向性。あまりにも痛ましい響きをしている。だけれど、奥底に宿るものはそれだけではない。一成の演じる蒼生が持つ、しなやかな強さは決して失われていない。
殺さないで、と言う蒼生の言葉は悲しみだけに染まらない。未来への祈りと、決して手放せない最愛の人へ向かう心を握りしめて、蒼生は言った。
しかと光る輝きではない。それでも、やわやわとにじむように光を放つ。だからきっとそれなら、と思ったのだ。
「天馬くんなら気づくでしょう。受け取った演技ができると思ったんですよ。案の定でしたね」
一成の演技は圧倒的で、スタッフの大半は呑まれたように身動きが取れない。それでも全員ではなかったし、何よりも相手は天馬なのだ。
皇天馬という役者の実力を理解しているからこそ、染井監督はカットを掛けなかった。この空気を、今この瞬間の全てを抱えて、天馬なら演技を返せる。力の限りで演じた一成の芝居を、天馬は受け止められる。
「蒼生は果たして泣くだろうか、と思っていたんですよ。脚本の段階で、実はあの場面は、どちらのパターンもあるなと思っていました」
思い出したように告げられた言葉に、一成は「そうですね」とうなずく。
あのシーンは、一成自身も少し迷っていた。もっとも脚本に涙はなかったので、泣く演技をするつもりはなかった。ただ、結果として自然と涙がこぼれていった。コントロールを離れた演技ではあるので、恐縮する場面とも言えたのだけれど。
「オレも迷ってて、最初は泣くのはなしかなって思ったんです。でも、演技の結果として涙が出てきた時点で、これが蒼生の答えなんだと」
美術館のシーンで、蒼生の心情は一成の心と重なった。あの時、蒼生は一成だったし一成は蒼生だった。口にした言葉や表した心の果てに涙があるなら、それは蒼生の心が出した答えだ。
コントロールの結果ではなく、蒼生という人間が生きているからこその結論だ。だから、一成にとってあの涙は間違いでもないし、当然の結末だと思っている。
染井監督は嬉しそうに「はい」とうなずいた。にこにこと満面の笑みを浮かべて言う。
「あの涙はとてもきれいに撮れたんですよ。涙の溜め方から、流れ方まで芸術品のようでした。三好さんの目は、涙もよく映えますね。とてもきれいです」
うきうきとした調子で「映像班でだいぶ盛り上がりました」と言われるので、一成は目を瞬かせた。翌朝の撮影でも褒められはしたけれど、スタッフでそこまで盛り上がっていたとは知らなかったのだ。
お礼を言う場面なんだろうか、と思っているといっそう楽しげに染井監督は続けた。
「天馬くんが涙をぬぐうところも、とても評判がいい。台本にはないシーンでも、的確な演技を返すところはさすがですし、何より指先一つで遼一郎の心が伝わります」
蒼生の言葉を受け止めたのだと、涙をぬぐう指先が告げている。やさしさと愛おしさの全てを込めて触れているのだと、画面越しでも伝わった。たった数秒の所作だけで、遼一郎から蒼生に向かう心がどれほどまでに深いのかを表現していた。
「天馬くんなら、三好さんの演技を受け止めてくれるだろうと思っていましたが、期待以上でした。涙をぬぐう場面は、これまでの二人の象徴のようで――ああ、これが撮りたかった、と思ったんですよ」
心を押し殺して口をつぐんで生きてきた蒼生の、振り絞るような心からの声。それを受け取る遼一郎は、ただ真っ直ぐと全てを抱き留める。
愛を告げる言葉は一つもない。それでも、互いに向かう心を受け取り合ったのだと告げている。こぼれる涙も、それをぬぐう指先も。二人がお互いを大切に思うからこそ、この世界のただ一人だと思い定めたからこそ生まれるワンシーンだった。
「あの場面で、蒼生は泣くでしょう。その涙を受け止めて、ぬぐうのが遼一郎です。二人はそういう風に生きていくでしょう。それをしかと感じました。お二人の演技が答えでしたよ」
そっと記憶をなぞるような素振りで、染井監督は言った。
本当なら、何度かテイクを重ねるつもりだった。しかし、天馬と一成の演技を目の当たりにした染井監督は悟る。これが答えだ。これが理想だ。これを撮るために、ここにいる。
何一つ欠けているところはなかったし、余計なものもなかった。これだけで完成している、と染井監督は判断して、あのシーンはワンテイクで撮影終了となったのだ。
「期待以上の演技をしていただいて、ありがとうございます。これから編集作業も待っていますし、ここからは私たちの仕事になりますが――三好さんたちには本当にいい芝居を見せてもらいました」
クランクアップしたとは言っても、映画が完成したわけではない。膨大な撮影データをもとにして、映画としての形を作っていく。話の流れからカットのつなぎや調整など、やるべきことは山積みだ。これからの仕事によって、映画は映画という作品になっていく。
「いい映画にしますよ」
染井監督の言葉は静かだった。だけれど、一成は奥底に宿る決意を感じ取る。
それは一成がキャンバスに向かう時と似ていた。プロとして、芸術家として、作品を完成させる。未完のまま放り出すことなく、最後までやり抜く。持てる力の全てで、細やかに神経を行き届かせ、最高の作品を作り上げる。それができるからプロを名乗っているし、そういう生き方を選んだのが自分たちだ。
最初から心配はしていなかったけれど、あらためて一成は思う。
この人の手に渡るなら。この人が作り上げる作品なら、いい映画になるのだ。多くの人の目に触れて、世界中へと羽ばたいていくような。そんな映画になる。
「みなさんの芝居は、本当に素晴らしかった。恥じることのない、胸を張っていられる作品にしなくてはいけません」
染井監督は楽しそうに、出演者それぞれの名前を挙げていく。
とはいっても、役者の数はごく少数だ。天馬と一成以外には、カフェのオーナーと遼一郎の親戚筋の人物が数名出るばかりだ。
並べられる名前に、一成はあらためて、オレよくこの中に混じってるな、と思う。出演者の中でも、圧倒的にキャリアも知名度もないのが一成なのだ。見劣りするだとか演技負けするだとか、思っていたわけではないけれど、世間一般的に見ればリスキーな起用に映ることは充分承知していた。
「三好さんの演技は、正直なところ全てにおいて期待以上ではありました。舞台の配信を拝見していますし、それ以外にもいくつかドラマも視聴できたので、心配はしていなかったのですが」
映画を撮るにあたって、染井監督は一成の出演作を一通り見ていた。共演者に比べて圧倒的にキャリアが足りないので、周囲から何かを言われる可能性も考慮して、演技力について染井監督自らきちんと確認していたのだ。結果として、問題ないと判断したからこその起用だったのだろう。
それもそうだよねん、と一成は思う。役者一本で活動しているわけでもない、知名度もキャリアも足りない人間が主演だ。周囲が不安になるのもうなずける、と一成は客観的に判断していた。
「いざ現場で三好さんの演技を拝見して、失礼ながら少し驚きはしました。もちろん、充分な演技力は持っていることはわかっています。ただ、想像していた以上に三好さんの芝居は面白い」
三好一成という役者は、理性的に芝居をコントロールするのだろうと染井監督は思っていた。実際それは間違っていなかったし、比較的一成はその傾向が強い。だけれど、現場で直に芝居を見ていく内に、少し違うのだと理解する。
「三好さんは遊ぶのが上手い。周囲をよく見て、求められるものを察することに長けているからでしょうか。理性的で優等生的な演技に見えて、台本の余白を楽しむ演技をする。どうすれば一番面白くなるか、常に考えているところがありますね」
全てを律して演技をするタイプに見えて、時々直感や思いつきで動くことがある。それでいて、周囲の状況を理解して細やかな神経を発揮するから、決定的な破綻は招かない。周囲へのアンテナの張り方や、バランス感覚に優れており、どんな状況でも柔軟に対応するしなやかさがある。
そう一成を評した染井監督は、嬉しそうに言うのだ。「想像以上に面白い役者だな、と嬉しかったんですよ」と。
告げられた言葉をじっと聞いていた一成は、我に返ったような面持ちで口を開く。黙ったままでいるのは失礼だ、と思ったからだ。
「――ありがとうございます」
いつもの明るさや、軽やかさはなかった。真剣な表情で、少しだけ泣きそうに揺れた声で言った。そんな風に言ってもらえるとは、欠片も思っていなかったのだ。充分すぎるほどの賞賛は、一成の胸をあまりに強く打った。いつもの笑顔を浮かべられないくらい。
だって、染井監督が見ていてくれたものは、確かに役者三好一成だ。ここまで歩いてきた、全ての上に成り立つ三好一成という役者だ。
好きなものは何でもやりたいと、欲張りに選んで歩いてきた。ここまでの道のり。歩き始めた最初の一歩。役者として舞台に立ったあの瞬間。MANKAIカンパニーでの日々から始まった全てが、今三好一成の土台になっている。それを染井監督は拾いあげた。
心のままに生きる一成を、認めてくれた人たちがいる。理性的な部分も、直感的な部分も、全ては一成だと受け入れてくれた。何だって楽しんでしまおうとするのは、夏組みんながそろっていれば当然だ。
意外と気遣いするところも、何にだって興味を持って手を伸ばしてみることも、真面目なところも、ふざけたところも、みんなで笑おうとすることも、みんなみんな、それが一成だと受け止めてくれた。
MANKAIカンパニーで過ごした日々が、今の自分になっている。役者としてはもちろん、三好一成という人間の礎に、MANKAIカンパニーはいてくれる。
カンパニーでの日々が、ここにつながっているのだ、と思った。染井監督が評価してくれた、役者三好一成としての側面は、MANKAIカンパニーで過ごして育ったからこそだ。その事実が一成は嬉しくて誇らしくて、どうしようもなく胸を打つ。
「それに、今回は三好さんの多才ぶりにも助けられましたね。役者だけではない、という点で不安視する人もいましたが、結果として大成功です」
胸を張っての言葉に、一成はくすりと笑う。それから、「やっぱり不安視する人はいたんだな」と思っていた。当然のことなので、特にショックは受けなかった。むしろ、それでも起用されている事実にありがたみが増すくらいだ。
「――キャリアも知名度も少ないですし、周囲からの不安もわかります。それなのに起用してもらって、ありがとうございます。この映画はオレの特別な作品になるでしょうし、出演できて本当によかった」
心から思っていることなので、きちんと伝えたくてそう言った。すると、染井監督は目をまたたかせた。意外な言葉を聞いた、という表情だった。
「三好さんの起用は当然のことですよ。演技については、問題ないことはわかっていますし――それに、蒼生を演じるのは三好さん以外いないでしょう」
きっぱりと告げた染井監督は、それから照れたように笑みを浮かべて続けた。――そもそも、私はお二人の芝居を見てこの映画を撮りたいと思ったんですよ、と。
その表情は、初めてMANKAI寮で顔を合わせた時に見たものと同じだった。大スターを前に戸惑う少年のような、憧れの人を前にしてはにかむような、そういう表情だ。